今から個別株を買おうとする人のための記事その1 初心者はまずどの証券会社を開けばいい? - 頭の上にミカンをのせるの続きです。
1を読んで、まずSBIネオモバイル、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの証券会社の口座を開き、入金を済ませた状態という前提でお話します。
今回は、個別企業の見方について簡単に説明します。
あくまで決算短信を見れるようになる前の「入門」「慣らし運転」段階の話です。
本格的に投資を始めるようになったら決算短信や決算説明書をきちんと見るようにしましょう。
1 まず気になる会社について調べましょう。
ここははてなブログなので、「はてな株式会社」について調べてみるとします。
まずはどこでもいいので自分が開設した証券会社の口座にログインして「はてな」で検索してみましょう。
今回は「楽天証券」の画面を表示しますが、四季報を見ることができる会社なら内容は変わりません。
何より先にチェックすべきは「時価総額」
投資を始めていくと、いろんな指標に出会いますが、すべてのベースは時価総額です。車に乗るときにシートベルトの着用が必須であるのと同じレベルで時価総額の把握は大事です。時価総額と株価を切り離して考えてはいけませんし、時価総額がパッとこらえられないような企業に投資してはいけません。
にもかかわらず、なぜかよくわからんのですが、どの証券会社もその会社の時価総額が一目でわかりにくいです。でも、時価総額で考える癖がない初心者ほど、とんでもない割高株を平気で買ったりします。PERやPBRよりも、何はなくともまず時価総額をチェックしてください。
楽天証券の場合、「指標」タグの左上に「基本情報」が載っており、ここで時価総額が確認できます。
これを見ると、はてなは「株価が3045円の時点で時価総額が88億円」であることがわかります。
PERなどの指標だけで考えると誤りやすいですが、時価総額に紐づけて考えるようにすれば「年間の売り上げが26億。経常利益4.5億(来年予想は3.4億)。成長率は15%程度、な会社の時価総額が88億は妥当か?」と考えれば、投資を全くしたことがない人でもイメージしやすいでしょ?
ちゃんと会社の大きさをある程度のイメージとして持てるようにするためにも、時価総額で考える癖は絶対に持ってた方がいいですよ。
四季報でまず会社についてザックリ知る
検索で個別株のページに遷移したら、まず「四季報」タグをクリックします。
「四季報」のページでは「企業情報」「業績・財務」「資本異動」の3つについて確認できます。
◆まず「企業情報」から解説記事を見ます。
見ての通り今期の「はてな」に関する四季報の解説文は大外れでした。
四季報の文章:【上振れ】ブログ広告収入が安定貢献。サーバー監視サービスは新規顧客積み増す。システム移行に伴うデータセンター関連費も想定以下。前号より営業増益幅拡大。20年7月期も漫画表示ソフトの引き合い増。データセンター費減り採算さらに改善。
→実際:大型案件の納品完了し19年度の売り上げは大きく伸びたが、受注積み残しが減る。不確実な売り上げは一切計上せず、来期は大幅なコスト上昇から採算悪化し、経常利益が前年度3割減の予定。
実際は会社が保守的を通り越してかなり悲観的な予想を出したことにより「ストップ安700安→夜間PTSでは500円マイナス」で3745円→2504円での取引となっています。
このように「四季報の解説文は、初心者だとついついうのみにしてしまいがちだが、特にマザーズ株に関しては解説がいい加減なところが多いのであてにしない」ということをよくよく覚えておいてください。
ちなみに大株主情報などもきちんと書いてあるので、参考にしておきましょう。
はてなはいまだに近藤さんが37%の大株主で、元CTOの伊藤直也さんも1.7%保有しています。
◆次に「業績」推移も見てみましょう
こちらも、「株探」や「バフェットコード」「iMarket」などを見た方がより詳細な情報が見れるので、
ゆくゆくは見る必要なくなりますが、とりあえず見方を覚えましょう。
ここ数年、売り上げが年々10%から20%伸びていたことがわかりますね。それに伴って、利益も伸びていました。四季報はこの伸び率が単純に来年も実現できると考えて2020年度予想を立てていましたが、実際は一番下の段にある数字の通りに来年は減益予想となっています。
どうもはてなは業績が好調だとその翌年にがっつり投資する、という方針のようです。こういう企業の決算のクセは四季報は一切考慮してくれないので、本気で投資する場合は絶対に過去数年の短信を自分でチェックしましょう。その作業によって結果が数万円変わってくるのだから安いもんです。
お試し訓練の間はそこまで気にしなくてもいいです。
また「四季報」タグじゃなく「業績」タグをクリックすると数字がグラフになっているので視覚的に見やすいです。
◆歴史の長い企業をみる場合は配当の推移も見ておきましょう。
はてなはまだ上場して日が浅く、成長のための投資優先なので完全無配当です。
ただ、歴史の長い企業を見る場合は「配当性向」や「ちゃんとその企業が増配を続けている企業かどうか」をチェックしましょう。連続増配を続けている企業は基本的に優秀です。
◆「業績」よりも「財務」の部分をどう見るかでほかの人と差がつけられます
次は財務を見ます。ここは情報の宝庫です。
①まず自己資本比率はいくらか。財務の安全性を確認します。
業種にもよりますが、ここが低すぎると危険なので同業他社の数字と比較してみると良いでしょう。
はてなは83.6%と非常に高水準です。むしろ上場する必要ある?ってレベルですね。
②ROEがいくらか。これは投下資本に対してどの程度のリターンを生み出してるかというものです。
はてなは、自己資本比率が高いにもかかわらず去年は16.6%なのでかなり優秀です。
逆に言うと、成長率が高すぎる場合は来年同じ数字が維持できるか少し警戒したほうがいいでしょう。
③設備投資と減価償却がどのくらいか。
利益率が高く、設備投資が高い会社は成長の維持が期待できます。
逆に言うと、設備投資が低すぎる会社が成長率高めだったら胡散臭いですね。
減価償却は高すぎる場合は「なんかおかしいぞ?」と少し警戒しましょう。
◆資本移動はいきなり見ても大変なのでいったんおいておきましょう。
次に「指標タグ」をクリックして、その会社が割高か割安かを判断する
楽天証券のいいところはこの指標が充実しているところです。
SBI証券はこの指標が全く大したことないので困ります。
今すぐ個別の内容について知る必要はないですが、一つ一つの項目についてカーソルを合わせるとちゃんと説明も出るので勉強してみてください。
小売業とかだと棚卸資産回転率も重要だし、
企業によっては海外売上高比率も重要になってきます。
これらを同業他社と比較できるようになってくれば面白くなってきますよ。
この割安・割高の判断は「その3」で説明します。
ついでに楽天証券以外の項目を紹介しておくと。。。
・SBI証券だと「アナリスト評価レポート」が見れます
・マネックス証券だと前回の記事で書いた通り「銘柄スカウター」が使えます。
・GMOクリック証券だと「財務諸表のグラフ化」が使えます。
なので、この辺りは口座を作っておいて損はないです。
「時価総額」「業績」「財務」「投資指標」を見た上で、初めて「チャート」や「出来高」の分析をしましょう
世の中にはファンダメンタルズ(業績や市場環境など)を一切無視して
チャートだけ見て投資するテクニカル投資というものがあります。
そういう投資法を否定はしませんが、私は上級者向けだと思います。
まず投資を始めたての人は、自分が投資する会社について
・時価総額
・業績
・いくつかの投資指標
を頭に入れて、その上でチャートを見るようにしてください。
極論すれば、チャートなんて見ないででも儲かる投資できることになるのが理想です。
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というか、少なくとも株式投資で勝ってる人はみんな当然のようにやってるからね。
投資なんて自己責任だから気軽にやってもいいとは思うけど、最低限のウォーミングアップは必要だと思います。