株式投資の本で「良い株主 悪い株主」という本があります。
タイトルだと分断を煽るような本にも見えますが、実際はものすごい良書です。
内容としてはマクロデータや日本における投資主体を統計的に分析し、そして投資主体ごとのパフォーマンス分析から
投資家として取るべき道を読者に考えさせてくれるような内容になっています。
当たり前ですが、〇〇=悪とか〇〇=善みたいな二元論は全く意味がない。
政治的にはそれを決め打ちする必要がある状況はあるかもしれませんが個人レベルでは無意味です。
それよりも、「そもそも〇〇というのはどういうことか」みたいなのを考えて、
その中で「自分が〇〇となる、〇〇と関わるのであればどうするのが良いか」と考えることが重要で、
個々人がこのように考えられないと、個人は簡単に政治に利用されてしまうと思う。
「ご立派なスローガン」や「正義っぽいお題目」という呪文にふらふらと操られてたらだめでしょう。
現状、コロナ対策のためという大義名分だけはご立派なスローガンのもと
大阪維新の会を中心にいろんな愚策が無批判に持ち上げられている現状を見るとそう思います。
久々にTwitter上で「ポリコレ」の話がバズってた。
1:アメコミ雑語りマン登場
昨日のピクシブ配信で聞いた話で面白かったのが、
— 円之怜@新刊は年末予定 (@ennorei) August 5, 2020
・今アメコミは日本の漫画に押されてアメリカでの売上で大きく負けている。原因はアメコミはポリコレの嵐で全くストーリーが面白くなくなった
という話だった。
そこで、かつて2000年代かそこらである編集者が日本の漫画に提言した話を思い出した
このあとも長文で続きが書かれていますが、これはポリコレ=(少なくとも創作にとっては)悪とする考え方ですね。
togetter.com
ほぼあっさりと論破されています。
2:新橋九段による雑な反論
これはポリコレ=悪とは言い切れないという話ですね。
きわめて雑な記事で、アメコミ雑語りマンとレベルがあまり変わりません。
さっそくツッコミが入っています。
lont_in アメコミだけで言えばDCとマーベルのシェアは減ってますよ/ http://creppy.hatenablog.com/entry/2018/10/09/005140
nomitori それにMarvelはサブスクで読んでる人も多いし、売り上げだけで漫画と比較できんよなと思ったり
afunrupar アメリカの売り上げ日本産の漫画も含んでるのでは?別のサイトで7年で7倍になって年間250億の売り上げがあると書かれてたので、相対的にアメコミの部数が落ちてると言えるかも。ポリコレとは関係ないと思うけど。
toraha 「提示している売上論拠が日本のコミックを含んでいる」「映画の売上の割に全体のコミック売り上げは変わらない」「日本のコミックが売れ始めている」からすると、この記事は整合性が取れないのだが……
u_mid 最後の最後だけデータじゃなくて印象論が。「反PCであること」と「安直に反PCを売りにする」は微妙に違うし「安直に◯◯を売りにする創作者というのはたいてい腕が劣っている」は反PCに限らずPC等にも言えるのでは
新橋九段さんは何を語らせても語るに落ちる感じがあるなー。サヨク界の「すもも」氏的ポジションなんだけれど人間的な魅力が薄いのでいまいち伸びてない感じある。
どうせ周りからは「すもも」氏みたいなもんとしか思われないんだからもっと開き直ればいいのに……。 都合の良いデータを見るとすぐそこで思考停止して、その後はすぐに根拠のない語りを始めてしまう。何か誤りを指摘されてもプライドが邪魔して訂正できないどころか意味不明な自己弁護を繰り返すところも含めて三沢さんとよく似ているので、このあたり類型的な人格なのかなと思います。明らかに社会経験が乏しく、学校の先生か塾講師しかやったことない人特有のしゃべり方を感じるけど何の仕事してるんだろう? 結局「なにかにマウントする」ことが目的になっちゃってて自分の身を顧みない。批判対象より1歩でも自分が優れてたらすぐドヤってしまう、というところに根本的な難点があるんだろうなと。
3:ジェット・リョーさんによるツッコミ
ツイート上ではアメコミ雑語りマンについての言及ですが、このツッコミは当然新橋九段氏にも及ぶ内容となっています。
要するに「人間は、自分が共感できるストーリーを提示されると、事実かどうかの査定は二の次にしてとりあえず信頼感をもってしまう」という人間がもつ認知のバグを突いたマーケティング手法なんだけど、今回のアメコミ雑語りマンのバズり方なんかもまさにこれなんですよね。(続く
— ジェット・リョー (@ikazombie) August 6, 2020
「売上データに関してはアメコミは流通や販売の形態も特殊で…」と、事実ベースでていねいに認識の間違いを指摘しても、前者の“気持ちいい物語”の拡散力にはぜったい勝てないので、いつまでも誤解は解けないんですよね……。おそらくこれからも第2・第3のアメコミ雑語りマンが現れることでしょう……。
— ジェット・リョー (@ikazombie) August 6, 2020
要するに、「自分が正しい側にいると錯覚できればよくて、何が正しいかには全然興味がない」人達の意見というのはどちらにしてもあまり意味がない。
それでいて、そういう意見は安易に拡散され、訂正もできないという現実が今のインターネットであり、
だから、よくわかってない、よく調べもしない素人の風説がすぐに拡散され、そういういい加減な情報に対して抵抗力がない人はインターネットをやればやるほどどんどん馬鹿になる。
人類には早すぎる機能だった。子供に銃を与えたようなもの
ポリコレで漫画が売れるか売れないかと論じている人は「これからはDXだ!」と声高に叫ぶ富士通の人を笑う資格はない
これ。 pic.twitter.com/gT26yabFQ6
— みやざわさん (@kiiichinnn27) August 7, 2020
大事なのは「なにが読者のニーズのなのか」を真剣に考えることだと思う。
ポリコレは減点要素にはなっても加点要素になるわけではないと思うがどうだろうか。
どれだけフェミニズムやフェミニズムがごちゃごちゃ言おうと、女性もエロが好きという現実を無視して語ってたら、「これからはDXだ!」と言ってる人と何も変わらないと私は思う。
もうちょっと詳しい人による分析。
アメコミがMANGAと比べて落ちてる理由はポリコレがどうこうじゃなくてシリーズがすぐリセットされたり分岐したりして複雑化し「どこから読み始めればいいのかわからないから」じゃない?という分析が行われています。
同じ記事内の画像から。驚くことにスーパーヒーロー物のシェアはすでにMANGAよりも少なくなっている。
— 松田未来 「夜光雲のサリッサ」単行本第4巻発売中! (@macchiMC72) August 6, 2020
マニア向けのショップが年配のヒーローコミック層を相手にしているのに対して、量販店はもはやそうではないということらしい。 pic.twitter.com/41JKVzRCZp
これは実際コミック専門店に行った時に意外にもヒーロー物の棚が圧倒的ではなく、むしろそうでないコミックのほうが推されているなーと感じた経験を裏付けているデータです。その傾向は年々強くなって、描かれている絵柄もアニメ・漫画の影響下にあるものが目立っています。
— 松田未来 「夜光雲のサリッサ」単行本第4巻発売中! (@macchiMC72) August 6, 2020
杉野さん、この動画シリーズを共有していただけませんか?日本の漫画がどのように西洋漫画を追い越したかを説明してください。西側の政治的正当性の癌のために、アマゾンのようなサイトは日本の作品を排除したいと考えています。
— Veltiel Gamaliel (@VeltielG) July 14, 2020
Part 1pic.twitter.com/ufEqpvBbie
Part 2https://t.co/wMoW06fRKs
— Veltiel Gamaliel (@VeltielG) August 6, 2020
Part 3https://t.co/AvMwmwqG8s
— Veltiel Gamaliel (@VeltielG) August 6, 2020
Part 4https://t.co/IvyyhEdWXP
— Veltiel Gamaliel (@VeltielG) August 6, 2020
「ポリコレ」に対して「良い取り組み」をしている作者様の例
誰にでも楽しんでもらうっていうのは趣味嗜好が違うので不可能なのはわかっているけれど、でもだからといって、描き手が努力しないのは違うでしょう?少なくないクリエイターが新しい価値観で、時代と社会にあった表現を模索して、数年単位でガラッと変化が訪れるのは、本当に面白い時代だと思いますよ
— とんがり帽子のアトリエ7巻発売中🏆白浜鴎 (@shirahamakamome) August 7, 2020
https://news.yahoo.co.jp/articles/2117cfde360f3d203cd527c8695baf8b329e1e5enews.yahoo.co.jp
- 作者:白浜鴎
- 発売日: 2020/05/22
- メディア: Kindle版
こういう取り組みをしている人は心から尊敬する。
「ポリコレ」に対してマナー講師のような態度で他人に押し付けようとするのは「悪い取り組み」だと思う
filinion その通りだと思う。…まあ、「ゴースト・オブ・ツシマは文化の簒奪!」とかいう残念な「自称ポリコレ」もあるけど、ポリコレの理念自体は正しい。インチキマナー講師が世の害悪でも、マナー自体は大切なのと同じ
marilyn-yasu マナーって表現は良いな。ポリコレに反した=悪即斬な人もいるけど、絶対視する物ってよりみんなで漠然としながらも共有することで苦痛を減らすツールだよね。『必要なら』マナー違反も受け入れられる
BIFF 素晴らしい考え方。「ポリコレ」の問題点は「他者を叩く棒」に使う不届き者が目立つこと、自らの意志で自らの表現を律する基準にするのは良いことだと思う。。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/shirahamakamome/status/1291640295772233732
これについては既に過去記事で紹介してますね。
簡単な話、自分たちのアイデンティティとして「ポリコレ」みたいなのを勝手に設定してその自分たちの立場に利用するためにこの作品はポリコレ的だから良いとかこの作品はポリコレ的にアウトみたいにマナー講師としてふるまう行為はとても💩です。
自分の信念のために他人の漫画に憑依して「ゴールデンカムイはポリコレ的に素晴らしいから良い作品」みたいに評価するのはファッキン💩なのでやめてほしい。
私は、そういう人たちは「悪いポリコレ」だと思います。
いちおう結論らしきもの
冒頭に述べたように、いい加減に「ポリコレ」は良いか悪いかという発想はやめてほしいです。
フェミニズムだろうが、ポリコレだろうが、良い取り組みと悪い取り組みがあります。
フェミニズムは絶対的な正義とかポリコレ無罪ということはないのです。当たり前でしょ。
たとえば、先ほど紹介した新橋九段さんは、ポリコレを標榜していながら他人に暴言を吐きまくって何度も凍結されいるような人です。
ポリコレは絶対的な正義だと勘違いしている人は、ここまで愚かになれるのかというサンプルみたいなものですが、実際にそういう人たくさんいますよね。
それを掲げていさえすれば自分は何をやってもいいと勘違いしてるバカほど厄介なものはありません。
そういう、当たり前のことを忘れないようにしてほしいなと思います。
そして、ジェット・リョーさんがおっしゃっているように今のネットでは明らかに「悪いポリコレ」の方が拡散しやすいです。
なぜなら「良い取り組み」は効果が大きい代わりに実践は難しく、時間もかかるからです。
これに対して「良い取り組み」に憑依したりして自分たちを正義ってことにしたり、他人をたたいて気持ちよくなりたい「悪い取り組み」はとってもお手軽です。
何が「良い取り組みであるか」をちゃんと考えて意識していないと、人間はすぐに楽で、お手軽な方向に逃げます。
フェミニズムであろうがポリコレであろうがすぐに「悪い取り組み」だらけになります。というか、もうかなりそうなってます。
私はフェミニズムもポリコレも否定はしませんが、
それが良いものだと思うなら、その思想に恥じないように立派なふるまいを心掛けてほしいと思います。
こういうこと言うと「トーンポリシングだ!」みたいに脊髄反射する人間は自分に甘えすぎだと思います。
被差別当事者ならわかる。でもそうでもない人間が反差別を建前にしてトーンポリシング批判を主張してるのは全く同意できません。
むしろ直接の被差別者でないのだから冷静になるのが役目なのにそれができないなら無能な味方でしかないから黙ってた方がまだまし。
反差別でもフェミニズムでもポリコレでも、丁寧にやってちゃんと認められてる人もいますので、
まずは「自分が評価されたい」って欲を捨ててその人の応援をする方向に切り替えてはいかがでしょうか。
いい加減、「自分が気に入らないやつに好き勝手暴言はいても許されて、あわよくばちやほやされたい」みたいな欲をごまかすのやめてほしい。