頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「御手洗家、炎上する」感想(後半) 一度目の炎上は物理。二度目の炎上をインターネットで

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www.tyoshiki.com

の続きです。

正直、この作品については前半までの紹介だけ読んで後は実際に作品を読んでみてほしいと思ってます。ネタバレ一切なしの状態で5巻を読んんでほしいからです。

ということで、後半の記事は「すでに作品読んだ人向け」に書きます。未読の人はここから先はそっ閉じ推奨。





3巻からは姉と妹がそれぞれのルートで御手洗家を攻略することになるが、〇側が選んだ側のルートはどうあがいてもバッドエンドにしかならない

少ない登場人物ながらも二歩進んでは三歩後退させられるような展開が続いて飽きさせません。
姉と妹だけでなく、状況を引いた視点から見れる私たちも、まんまと騙されてスカッとします。

・姉と妹と二人で挑んだ結果、状況は以前よりも進展するけれど、今度は妹の方が油断してしまう。

・妹の視点を通して父はいい人だと思っていたら思わぬ落とし穴にはまる。この作品で最悪の存在は「渡マキコ」以上にこの父親であり、「渡マキコ」はこの父親の弱さに付け込んだだけ。
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「マックィィーン 君こそ 真ノ邪悪ダ」
君には敵意もナケレバ悪気もナイシ 誰ニモ迷惑ナンカかけてナイと思っテイル 
自分ヲ被害者ダト思っているし 他人に無関心のクセに誰カガ イツカ自分を助けてクレルト望ンデイル
だが ソレコソ悪より悪い「最悪」と呼バレルものダ 
他人を不幸に巻き込んで道連れにスル「真の邪悪」ダ

妹が選んだ「父親に頼る」ルートはBADENDしか用意されていなかった。


・そもそも、二人とも、そして読者である私も「渡マキコ」を侮りすぎた。3巻までは「渡マキコ」はそれほど大した存在ではないと思わせていたが、ここにきて、実はかなり恐ろしい女であることがわかる。身内や病院内に盗聴器を仕掛けて徹底的に管理したり、敵対する人物をつぶすためにえげつないことをやっている。
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放火した時はまだそれほどではなかったかもしれないが、10年間魑魅魍魎の世界で生き延びて、彼女は彼女なりに強くなったのだ。




大きな犠牲を払いつつも予想外の助けによって辛くも撤退することに成功した二人は、仕切り直して新しい戦いに挑む

すべてが悪い方向に転がって、いったんは「渡マキコ」と「父親」に完全に敗北しそうになる。

しかし、そこを意外な人物が助けてくれることになる。
ちゃんと伏線は張られているが、初見の時にこの展開を予想するのは結構難しいと思う。


ただ、危機は脱したものの「渡マキコ」を追い詰めるための物証はすべて処分されてしまい、打つ手がなくなってしまう



今度こそダメかと絶望仕掛けるが、弱くて奪われるだけの存在だと思い込んでいた母親(皐月)の意外な強さを知って勇気づけられ、首の皮一枚で「渡マキコ」との縁を維持することができたため、なんとか必死にくらいついて新しい方法で「渡マキコ」に挑み続けることになる。



復讐はばかげている、そんなことより自分が幸せになる方が良いっていうのはよく聞く陳腐な話ですが

「相手が自分に敵意を持っていて、自分を常に脅かし続ける」存在であったり
「相手が自分よりはるかに恵まれていて、世間に露出して目をそらすことも難しい」場合はそんなこと言ってられません。

この二人にとって復讐というのは自衛と等しいんだなと感じます。



しかし、糸口がつかめないままズルズルと数か月が過ぎたころ、全く予想外のところから突破口が開ける。


人間は、格下を相手にしていると思って油断した時に破滅フラグを踏む

6巻において、1巻からちょくちょく存在をアピールしていたのに全く目立っていなかった葛城七海という人物がいた。

この人物は、「渡マキコ」と同様に男を利用してのし上がる気満々のハングリー精神の強い女性である。この人物が急にこの物語に絡んできて、停滞していた物語に風穴を開けてくれる。


「渡マキコ」は最初思っていたよりはずっと狡猾で警戒心が強い人間で、特に旧御手洗家の人間の存在を知ってからはそちら方向には全力で防御していた。しかし「自分と同じタイプで自分より格下の人間」にだけは全く警戒を持つことができず、自分の仮面を脱ぎ捨てて本音を語ってしまう。


「葛城七海」はその本音の部分を録音しており、これによりネットでは炎上騒ぎになる。


炎上の恐ろしいところは第二波・第三波があるということ

炎上は一度起きてしまうと、本当に潔癖でない限りは鎮火は難しい。
「きっかけとなった」発言を黙らせてもそれだけで鎮火することができず関連する情報にどんどん広がっていく。

「渡マキコ」も第一陣のtwitterでの炎上はしのぎ切った。「葛城七海」の口をふさぐことは成功する。しかしこの「炎上」をきっかけにして、「渡マキコ」の秘密を握っていた人物が、自己顕示欲欲しさに「note」で告発記事を書くという展開に。この炎上にはさすがに「渡マキコ」も狼狽して、ガードが緩んでしまう。

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そして、いくつもの動かぬ証拠を突き付けて「渡マキコ」を追い詰めるが……

実はこの「note」の告発記事も、それらがネット上で大きく話題になっているというのもすべて旧御手洗家の人間たちが仕掛けた自作自演の罠だった。

この偽の炎上を杏子が仕掛けた本当の目的は、焦った「渡マキコ」から、「渡マキコ」の秘密を握っていた唯一の人物の居場所を聞き出すこと。この唯一の人物「ムジナ」の居場所を聞いた杏子は、「ムジナ」から決定的な証拠を入手する。

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でも、あなたが切り取った思い出も、愚直にたどっていけば誰かの下でありのままの姿でのこっていることがあるんです。

というわけで今度こそ終わりかと思っていたのだが、これでもまだ終わらないらしい……

この作品はどれだけ私を楽しませてくれるのか。すごいわ……。



このまま終わっても★4評価なのですが、ここからさらに一ひねりあるなら文句なしの★5評価作品です。