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円安の理由は「金利差」とよく言われますが「何の金利差」が大事なのだろう?

追記:なんか微妙にバズりそうなのではてブの識者の方に確認させてほしいです。今NURO光契約しようと思ってるのですが、この②のプランで間違いないですか?
www.tyoshiki.com





www.tyoshiki.com

の続き。


「金利」の話をするときは実質金利と名目金利というものがあることを認識しておきたい

www.smtb.jp

f:id:tyoshiki:20220330122754p:plain

これを見ると、短期的な、特にリスク選好局面では名目金利の影響が大きく
長期的にみると実質金利の影響が大きいということがわかります。

もっと極端に言えば「短期的には影響が大きいけど長期的には金利差と為替レートは連動しない」という印象になりますよね。

f:id:tyoshiki:20220330122548p:plain



一般にチャートでよくみられるのは「名目金利」です。

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こちらは市場での流通量が大きく、裁定取引の際に活躍するので短期的にはこちらの影響の方が大きいです。



しかし、本当に重要なのは「実質金利」の方です。こちらの金利が実際の景気に影響します

「実質金利」という名前はついてますが、中身は「インフレプロテクションつき債権の金利」です。


見慣れない言葉が多くて難しいと思うかもしれませんが、言ってることはめっちゃ単純です。


「インフレ」率抜きで国債の金利利回りはどのくらいか、が重要なのだということです。

国別に比較したら、国債の利回りが良くてもインフレが高かったらその国に投資しても実質的な価値は目減りしますからね。

一見国債利回りが低く見えてもデフレの国にもちゃんと存在意義があるのです。「実質金利」が高いか低いかが重要なのですよ。



アメリカは利回りも高いがインフレ率も高いので実質金利は大幅マイナスになってしまっている

実質金利は、すごくざっくりいうと名目金利からインフレ率を引いた値です(正確ではないです)

んで、実質金利は「名目金利ー期待インフレ率(BEI)」という計算式で産出されます。

このBEIは説明が厄介なので、ここではざっくりインフレ率のことだと思ってください(※正確ではないです)


よーするに、名目金利が高くても、期待インフレ率も高いのであれば、実質金利は低いってことです。


今のアメリカの名目金利がどんどん上がっていってるのは、というか上げていかなければいけないのは、インフレ率が高まってるからだというのはわかりますよね。

アメリカの先月のCPIは8%だった。3月はウクライナ・ロシア紛争の影響でもっと高くなります。

そういう状況でアメリカは急いで国際利上げをしなければいけません。



日本は金利は低いがインフレ率も低い

これに対して、日本は「今のところは」そうなってません。

2月からはすでに値上げしている企業もありますが、本格的な先物価格の上昇が実際の調達額に反映される4月からです。

調達部門の人はみんな泣きそうな顔をしていると思います。


それでもまだ統計では日本のコアCPI上昇率は0.9%となっています。(※統計に欠陥があることが指摘されています)

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https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=70571?site=nli
f:id:tyoshiki:20220329231208p:plain
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20220127001676.html
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https://asahi.gakujo.ne.jp/research/industry_topics/detail/id=3387

実質金利という意味で言えば、アメリカの方が利回りが低いです。実質金利はめっちゃマイナス。

この状態だと、まだまだ商品のインフレは止まりません。

グロース株にとっても実質金利はややマイナスくらいがちょうどよくて、大幅マイナスである間はインフレが継続します。

www.smbcnikko.co.jp

実質金利はプラスになるのが正常な状態ですが、
マイナス(物価上昇率>名目金利)になると、銀行にお金を預けて利息が増えるペースよりモノの値段が上昇するほうが速くなり、
お金の価値が実質的に目減りすることになります。
お金の価値が目減りすることから、お金をモノへ交換するインセンティブが高まり、消費や投資が活発となる


コロナ以降のアメリカの株価がなぜこんなに急激に上げたのかという理由でまさか企業業績がよかったから、だけだと思ってる人はいないと思いますが

①「FRBが国債を無限に買い入れて金利を押さえつけつつ市場に過剰な流動性を供給した」
②「人為的に実質金利をマイナスにし続けて、経済実際を無視してインフレ状態を作り出してきた」

という2点が業績なんかよりもはるかに大事なんですよ。

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https://stock-marketdata.com/reai-interest-rate-us.html


ここまで理解していれば、「国債利回りの名目値」よりも「実質金利」が大事なのはわかりますよね。


同時に「そもそも、なんでインフレになったら中期国債金利を上げるの?」
「なんでそれがインフレ退治につながると言われているの?」ということもわかってくると思います。




同時に、アメリカのコロナ以降の株価高が不自然なものであるかはわかるはずです。

なんかよく安倍政権の日銀お買い上げを批判してるくせにアメリカについては肯定的な人いますけど、
ぶっちゃけパウエルさんは安倍総理なんか可愛いくらいに頭おかしいことやってますから、
そこを踏まえたうえで安倍とか日銀を批判しないと、「あーこの人よくわかってないけど聞きかじりでしゃべってんな。陰謀論に弱そうだな」ってなります。



まぁ結果論としては
「パウエルさんが方向転嫁するまで何も考えずにアメリカ株買ってればよかった」なわけですが

よくわかってる人は「ここ数年におけるレバナス積み立て投資」はすべて無駄になるし
そんなことするくらいなここ数年は貯金しておけって言ってるわけでございますよ……。
(※ちなみに数年前からアメリカ株投資してる人がレバのかかってない積立投資をやるのは全く問題ないです)




つまり日銀が「日本国債の金利がアメリカに釣られて上昇してしまう」のを止めるために指値オペをするというのは、実質金利を考慮するとめちゃくちゃ理不尽というわけではありません


あくまで「現時点では」ですけれども。


じゃあ何で一気に円安になったんかっていうと、これは需給が一気に壊れたからです。

まぁFXやってる人も、((プロはそんなことは百も承知だけど)個人はよくわかってません。
だから実際には名目金利差が拡大したらそれにつられて売買しちゃうんですよね。

というか、わかってても短期的にはそういう売買をせざるを得ません。 
なぜなら指値オペ発動した場合に市場がそういう風に動くのはもう経験則上みん無しってるから。

あくまでも短期的な需給の問題なのです。
そういうわけで、現時点では「需給バランスが一時的に崩壊した」短期的な動きであり、市場が勘違いしてるという状態です。


これに対し、はてなブックマークユーザーの中でも仕組みがよくわかってる人はこの動きに懐疑的だし、
わかってない人ほど「結果だけ見て、自分の理解できるストーリーを考えて」理屈をひねり出すということになりがちです。





とはいっても、日本の現状を考えた時に、大きく円高に進む理由もあんまり見えないんよね…

なぜなら、黒田さん自身、今回はそうじゃないにせよ円安歓迎ではあるから。

だから今回誤解を招くとわかってたのに、指値オペの後に特に意図を明確に説明してくれない。


黒田さんの中ではYCCの観点からも普通に円安許容でしょう(短期国債金利の上昇は抑え、長期国債金利をスティープ化させたい)

何円になったらやばいと思って動き出すかすらわかりません。