俺はあいつに「効く」言葉を探してる
(中略)
あれは俺が言うべき言葉だった。よみを従える「魔法」。
一時間以内ここにいる全員を殺し、あの「魔法」を俺のものにする…!
だいぶ前にマシュマロで紹介してもらった作品です。紹介されたマンガってほぼ買ってるんですが、なかなか読めてなくて申し訳ない……。
1話だけ読んでみたらつかみが完璧でしたね。1話の完成度は相当上位にいると思います。
1話の時点でこれ絶対すごい!って思わせてくれた作品は最後まで読みたいと思っちゃう。
この作品はストーリーより雰囲気が大事な作品だと思うので詳しくは説明しません。ぜひ実際に読んでみてほしいです。
サイコパスの主人公が、死んでもよみがえる少女たちを率いて宇宙外生物と戦う話
「リコリス・リコイル」とか「ガンスリンガーガール」に限らず大人が少女を戦わせる物語類型を気持ち悪いっていう声は当然常にあるわけですが、本作品はそのあたりド直球でいいですね。
なんせ、指揮官となる主人公が「悪の教典」のハスミンなみにサイコパスなので。
表現の仕方も好き。主人公のサイコパスぶりを表情とか言葉じゃなくてこういう描写で表現されるとぐっとくる。
この主人公はサイコパスではあるが、それゆえに徹底して目的に向かって躊躇なく行動する。必要とあれば少女であろうが容赦なく殺す。そんな主人公と「殺されてもよみがえる上、殺されると1時間前の記憶が吹き飛ぶ」という少女の相性はすごく良い。
こういう「一般化できないコミュニケーション」が展開されるというだけでオンリーワンの価値がある。
「選択をミスったら死んでやりなおすのではなく相手を殺してやりなおす」エロゲーって斬新すぎてめっちゃ面白い
これがエロゲ主人公だったらセーブ&ロードができる。
これはReゼロだったら自分が死ねばすべて1からやりなおせる。
それに対して本作ではあくまで殺した少女の短期間の記憶をリセットできるだけだ。
徐々に主人公が持っている優位性は失われていく。最初は上位的な立場にいるのに、最初下にいた存在が自分を脅かしてくる。その状態での駆け引きが生じ始めると話に緊張感が出てくる。いくらなかったことにできるとはいっても主人公は嘘をついてるわけで、その嘘は繰り返しているうちにどこかでほころびが出るだろう。特に娘たちが仲良くなって情報を共有し始めればごまかしきれなくなるだろう。
つまり本作は、ここのジレンマがキモになってる。
①物語スタート地点では娘たちが仲が悪いからそのリスクは低い。ウソがばれないことだけを考えれば娘たちを仲良くさせないほうがいい。
②一方で娘たちを仲良く協力させ、一人一人の能力を高めないと、宇宙外生命体との戦いに勝利できない
こういう一筋縄ではいかない要素があると、物語がどう動くかわからなくてすごく楽しいって思う。これは2巻以降もすごく面白そう。みなさんもぜひ読んでみてほしい。
類似作品
ぱっと思いつくところだと「1年A組のモンスター」やら「いじめるあいつが悪いのか」や「からん」あたりでしょうか。
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特にわたしは「からん」という作品が大好きなんですが、この作品中途半端なところで終わって悲しかったので、「からん」が描き切れなかった何かを見せてくれるのではないかとすごく期待しています。
1話のつかみが良いなと思った他の作品の例
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あとタコピーとかBEASTARSあたりも1話の引きが凄かったなーって思ってます。