私にはちょっと難しい本なのだけれど、小分けにしてちまちま読んでいきます。
登場人物だけでもめっちゃ多い
1:台湾半導体の黎明期
朝食会の7名
RCAに派遣された若き技術者たち
2:TSMCを巡る愛憎劇
・モリス・チャン→リック・ツァイ→マーク・リュウ→シーシー・ウェイ
・共同創業者であるソウ・ハンジョウ
3:TSMC「研究開発の6騎士」
特にショウ・ショウギが重要。
他にも重要な人物が多数
4:他社の重要人物
TSMCのライバルであるUMCのトップ、ロバート・ツァオ
メディアテック
エイサー創業者のスタン・シー
TSCMに抗った世大/ 中芯
台湾という国の持つ独自の強さについても理解しておきましょう
台湾の強みは「自分の得意なこと=付加価値が高いことだけをやる」「そんなわがままを実現するために優秀な人材を重視し」「世界中のメーカーと仲良く手を取り合ってきた」ことにあるといいます。
1️⃣台湾人は昔の日本人よりもさらに勤勉で責任感が強い。しかも当時は人件費が安かった。
その結果、ICメーカーの粗利率が5割は必要だとされていた世界に、粗利率3割のICを生産しても採算ベースにのせられたことで一気に飛躍
製造コストに関する意識が日本よりも更に高く、粗利を削りつつも生産性向上を高めつづけた
2️⃣各産業をさらに細かくカテゴライズし、各々を派生産業として独立させた分業制=最初から世界との協業が前提
日本の企業内カンパニー制とはぜんぜん違う。サブシステムごとにしっかりと産業として成立させてしまう。
スピード感があり、コスト的にも優位性がある部品製造。「最高品質・最低価格・最速」という「はやい・やすい・うまい」を製造業で実現した。
それぞれの分野に特化した世界最高峰の企業が育ち、かつそれぞれの分野に専門に特化した最高の人材を集める。「総合職」などない。
3️⃣厳しい国内競争でしっかり磨かれた後で世界に進出する
細かいサブシステムごとに激しい競争が行われ、生き残った1~2社が資本も人材も独占する。
技術やコスト面での競争が進むゆえにコネや特許での争いではなく生産性やコスト削減、そしてイノベーションの勝負になる
それでいて、企業間の交流が盛んでオープンなやり取りが行われる(負けた会社の優秀な社員は勝った会社に拾われて活躍できるから)
発展した産業クラスタが台湾中に出来上がったため、資材調達力が極めて高い。 国際競争力が高いだけでなく、国外からも台湾で調達するメリットが高まる。
つまり、半導体産業は資本集約型+知識集約型だがその両方にしっかり対応した産業作りを30年以上にわたって行って、圧倒的な参入障壁を築き上げた。
逆に言うと、知識集約型でない産業は台湾は全くやっていない。
・太陽光発電、LED、液晶パネル、光電子など資本力で戦える産業は中国企業が強い。
・メモリだけは韓国のサムスンが国の資本を集中して地位を守りきった
・台湾はロジックICの中の、特に汎用ではないカスタムICに強みを持つ
ここからTSMCの歴史を見ていくのだけれど、その前に2014年の論文を読んで創業者のチャン・モリスについて概要を掴んでおきます。
https://www.kyusan-u.ac.jp/imi/publications/pdf/jimimivol.46_content_a.pdf

