球場ラバーズ2巻読んだ。
野球そのものというよりは野球ファンの物語。
もしかしたら野球ファンから見たら、野球以外の話って野暮なのかもしれないですが
私は野球全く興味ない人なので、野球ファンの話も楽しんで読めました。
私は「バクマン」より「重版出来」の方がすきですし、最前線のヒーローより、それを後ろや周りで支える人たちにより共感してしまうのかもしれません。
この作品において、ひどいいじめにあい、世界のすべてを敵視するようになった女の子が野球の応援を通じて、少しずつ「敵とはなにか」「どうすれば、自分の今の現状と戦う力が湧いてくるか」についての考え方が変わっていく、という過程があり、ここが面白いです。
敵をしれば知るほど試合はもっと面白い?
たしかに選手も監督もスタッフも 応援側もみんなそれぞれ物語を持ってる。それはわかってる
でも、私にはまだ試合を面白くする余裕もないよ 味方のことで、精一杯
敵を知れば 試合はもっと面白い? ホント? どんな敵でも? うそ!そんなの
敵は敵 味方の方が可愛いに決まってる
敵を認めるなんてとんでもない
向こうだってそう思ってるはず 私を敵だと 憎いと敵は敵 事情なんて 知るもんか
敵の気持ちなんか知らない
向こうだって こっちの気持ち考えてないでしょ?
憎んでなきゃ戦えない 敵と戦うってそういうことよね
敵は にくいもの
明日 同じことやってやる
敵からやられたこと そのまま返してやる 許さない
どこかに しかたないと思う気持ちがあったかも。
自分は悪くないって思ってたのに動けなかった。敵のことがわからなくてわからなくて
もういいやと投げ出して自分から切ってた
決めつけてわかったつもりだった。
話を聞きもしなかったな… マミちゃんにも堂本くんにも動いたら景気が変わることもあるのに
ハサミ振り回して勝っても きっと上は向けない
勝った!って笑えない。
まっすぐだから 見れる夢がある
負けても上を向いていたい
親もみんなも「気づかなくてゴメン」って言ってくれた。
謝るのは私。 周りを信用してなかった。
友達が「向こう側」の人間になった時の苦しさ もう味わいたくなくて敵を知れば戦える
私の敵は誰? よくいうよね、自分の中にいるって
ほんとに、そうかもなぁ…敵を知れば戦える
それって自分を知れってことなの?
卑怯な奴らなんて敵でもなんでもなかったのかも…私にとって本当に敵だったのは…
私が今まで動けなかったのは…
私は 野球を観ていた
敵のいない試合だった
野球で 野球だけで勝ちたいから勝負になるんだ。
敵になることが目的じゃない2010年日本シリーズ 私は初めてどちらにもよらずに野球を観た
ひいたところからみた野球はただの野球で。
そのただの野球が熱くて面白かった。
今私に大切なのは
敵がいることじゃなく
味方がいること
「私が野球にいく理由」には3人の主人公が登場するが、そのうちの一人はいじめられっ子の話。
彼女は些細なきっかけでいじめのターゲットになり、友達も自分を裏切り、親も助けてくれない。そのような状況で、女の子が周りすべてが自分の敵であるように感じるようになり、他者を理解すること、他者から理解されることを放棄し、自暴自棄になり、自分も他人もすべてを破壊しようとする所まで追い詰められる。
それでもあるときに誠実に行動したことで、蜘蛛の糸のような幸運が降りてくる。
自分を閉じ込めていた狭い世界の外側に出口を見出す。
そこから野球を応援することを通じて、殻に閉じこもっていた自分に気づく。
・親のことすらろくに知らなかった自分を知る。
・今の自分の環境はもともと自分が選んだものであることを思い出す。
・他にもいろんなことを見て、考えられるようになる。
・そして、この世には敵だけでなく「味方」がいることを信じられるようになる。
・そこまでできてようやく、「いじめられている自分」を受け入れ、最後には人に助けを求められるようになる。
こういう過程をわかりやすく大げさに描いてくれている。
「ひぐらし」の北条沙都子でも、「3月のライオン」の川本 ひなたでもそうだけれど本人が「誰かに助けを求める」ことが出来るなら、いじめなどそう深刻な問題にならないだろう。問題なのは、困っていても誰かに助けを求めることすらできないところまで本人の心が追い詰められることだと思う。そういう人が、どういう精神状態に陥っているか考え、どういう過程で立ち直っていくかはよく考えたい。
上記の過程は、「何かを応援すること」を通じて仲間ができ、おそらくアドラーでいうところの「他者信頼→他者貢献」の感覚を通じて共同体感覚を得る、という感じで理解できるような気がします。
http://tyoshiki.hatenadiary.com/entry/2014/07/08/171102
いじめの対策とかじゃなくて、仮死状態になっていた一人の人間の心が苦しみながらも少しずつ恢復していく話として考えると、ジョジョ第五部のブチャラティみたいでぐっとくる。