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「長時間労働をなくしたい」のはどちらも同じはずなのに「会社と労働者どっちが先に譲るか」で揉めて話が進まないのが悲しい

※特に主張や結論はなく、ただ現状について愚痴ってるだけの記事です。

残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長 (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン
読みました。やたら批判されてますね。たぶん前日に高プロや田端さんの味方のように見えたからなのでしょうが。あるいはちきりんさんのこの記事を連想した人も居たかもしれません。
d.hatena.ne.jp



実際労働に関する問題についてはネットだと100点満点か0点かという極論に分かれやすいです。
そのせいか、「長時間労働をさせつつ残業代を削りたい経営者寄りの話」なのかそれとも「残業の強制などの理不尽をなくしたい労働者寄りの話」のか、そのあたりを判断するのが難しいです。

しかし、松本さんに関して言えば、この人は「労働生産性高めるの大好き」「残業よりも、そもそも長時間労働やオフィスで仕事をするのが当たり前という風潮そのものが嫌い(仕事が終われば13時でも帰ってほしい)」と考えて間違いありません。というか、松本さんずっと同じことしか言ってないのに記事の見出しとかで簡単に釣られるのどうかと思う。この記事のブコメで支持するコメントしてたのに今回はだめといってる人いたらちょっと矛盾してるゾ。
はてなブックマーク - 「残業代を減らして喜んでいる経営者は愚かだ」:日経ビジネス電子版

私は高プロとかいう詐欺には断固反対ですが、元カルビーCEO、現ライザップCOOの松本晃さんの主張は支持する立場です

・残業云々以前に、そもそも一日8時間も働くことを強制されるのが嫌です。
・「会議」が大嫌いです。
・毎日朝から会社行かなければいけないのがつらいです。冬に朝8時から出勤するのは非生産的だよ(ポジショントーク)
・家で一人でできる作業は家でやらせてほしいし
・同じ職場の他者の動きを監視してちょっとでもサボってるようにみえたらすぐにチクるようなくそ社員が居た二つ目の職場は今でもトラウマです。

今でも限られた優秀な人だけはこういうしがらみから解放されていますが、
私みたいにたいして優秀ではない人間でも、そういう働き方ができるチャンスがある社会がきてほしい。


news.ameba.jp

・組織というものはたいがい、上に問題があるんです。惰性で行われている会議なんて、融通の利かない上司のせいで部下が困っている典型的な例ですよ。マネジメントする立場にいる人間は『部下の時間を奪っているのは上司だ』と、自覚すべき。

・長時間労働をとことん否定する松本氏。ビジネスパーソンは仕事以外の時間で自分の“資産価値”を高めることが重要で、それが会社に好影響をもたらすと考えている。

成果は、必ずしも労働時間に比例するとは限りません。生産性を向上させれば、短時間でも成果は上がります。そのために経営者は、効率良く働ける環境や制度を作ってあげる。成果が出ない原因が会社側にあるなら、それを取り除いてしまえ。

残業代が減って浮いたお金は、成果を上げた社員で分ければいいんですよ。残業代が減って、「コストが下がった」と喜んでいる経営者は愚かとしか言いようがない。社員の立場からすれば、何のための働き方改革なのか分からなくなる。やる気だって失せますよ。

当初は長時間残業が常態化していました。そこで、労働時間ではなく、成果をベースにした給与体系に変えました。すると、残業はピタッとなくなりましたよ。それでも業績は年々良くなりましたから、給料水準は3年間で2倍にアップできました

ニュースリリース 『「IR優良企業賞」を受賞』 | カルビー株式会社



「組織のためだけ」ではなく「組織で働く人のため」を考えて「長時間労働をなくそう」という流れになればよい

ドラッカーは初期三部作で言いました。
企業は人に、一人で働くより多くの成果を上げさせ、一人ひとりに社会的な役割を与えるための機関であると。企業がこの本来の働きをしないのであれば、世の中は再びファシズムにのっとられることになると。

ドラッカー「『経済人』の終わり」読了 - 私事ですが……

・ファシズム全体主義は
  「前向きな信条の欠如と過去の否定」
  「権力の正当化の要求の否定」
  「信条と公約に対する不信ゆえの大衆の信任」
 という他の主義にはみられない3つの特徴を持つ。

・ファシズム全体主義は経済中心であった前述の2つの主義とは異なり、
 経済的な不平等を非経済的な報奨によって相殺する

ドラッカーに見る全体主義の効用と、自由な社会の意味 | hirakuogura.com

ドラッカーはファシズムが長くは続かないことを予見した。そのロジックはこうだ。

・永遠に敵を作り続けなければいけない(外にケンカ売る)
・外部からの資源の調達コストが上がり続ける(外から嫌われる)
・経済が破綻し、戦争に負ける(負けたら終わり)

仲正昌樹 著『思想家ドラッカーを読む』|書籍を試読「Socrates」

・「不合理ゆえに我信ず」だけでは、政治運動を組織化して政権を獲得することはできない。
 欺瞞に満ちた既存の信条や秩序を破壊し続ける、強い「組織」に属しているということが、支持者にとっての誇り(アイデンティティ)になる

・『組織』の栄光を最終目的とする思想に対しては、自由と平等というヨーロッパの伝統を基盤とする新しい秩序をもって対峙しなければならない

これは余談であるが、ブラック企業やアベノミクスの難点はこういうところにある。
「組織=トップである自分」を守ることを至上価値にしていることだ。そして、「経済的な不平等を非経済的な報奨によって相殺する」=愛国心や忠誠心を重んじることにある。

しかし、「だからこそ」支持する人もいるのだ。まっとうにがんばって成功したり世の中に認められる道に絶望している人は、プロセスを重視する人を嫌う。
「安部国家」を「不合理ゆえに信じる」ことを自己目的化している人たちに批判は通じない。
「安倍を支持する3割」についての想像 - 紙屋研究所

まぁとにかく、松本さんの言ってることを評価するときに
それが会社のためだけを考えていってるのか、従業員のことも考えていってるのか、そのあたりをちょっと考えてみると良いと思う。


とはいえ、今の世の中で「会社」や「経営者」を信じるのは難しいし、それ以上に自分に自信がない

上で松本さんの意見を支持するといいましたが、じゃあ残業代なくしましょうって話に賛成するかというと、まぁ無理ですね。

会社を信じることができない。

いや、それ以上に自分を信じることができない。

田端さんみたいに「会社なんて最初から信じるやつがバカ。会社は利用するもの。
不合理なことがあったら戦って自分を守ろう。自分にとって大事なことは自分で手綱を握るんだ」
というマッチョ思考になれない。

いつも障害に負けずになんとか普通の人間として生きようと思ってやってきたけど、
それゆえに、周りのことなんか知らないって開き直ることが難しい。
根っこのところで私はウィンプなのだろう。

tyoshiki.hatenadiary.com


私がこの問題について何が正しいかはわからない。
たぶん、マッチョよりな松本さんの意見も、ウィンプ寄りな意見もどっちも間違ってない。
私個人は後者に共感してしまいがちになるが、前者のように働きたいという気持ちもある。
とりあえず法律面で考えれば、弱者寄りにするべきだろうから後者の意見が重要だろう。

その上で、企業単位ではカルビーのような試みは当然ありだと思う。
「長時間労働をさせつつ残業代を削りたい経営者」ではなく「残業の強制などの理不尽をなくした人たち」は否定されるべきではない。



というか、本来ブラック企業の経営者でもなければ「長時間労働をなくしたい」のは経営者でも労働者でも同じなはずだと思う。
世の中にはホワイト企業もたくさんある。

ホワイト企業大賞

しかし、どっちもお互いのことを信じられず、相手が譲るべきだと思ってじりじりにらみ合っている。


どうしたらいいんだろうね。

最後に私が好きでこのブログでも何回か取り上げてきた記事を。
zuisho.hatenadiary.jp

昔より幾分マシになった何かがあるならば、その陰には加害者を赦してでも改善を目指した人間が必ずいたはずだ。
その問題にコミットして改善しようと思う人間であればあるほど、加害者を赦すことが困難であることは想像に難しくない。
それでもなお赦し、現状を少しでもマシにしようと努めた先人たちの努力によって、私たちは昔よりかは幾分マシな世の中で生きていられるということを忘れてはならない。

信頼できない企業も多いし、自分も弱すぎて信用できないけど。
そのどちらも許して、自分が本当に望む働き方のために進んでいけたらいいのに。