2年ほど前に同人ドリームの例として「なかに」さんの記事を紹介したことがあります。
しかし、そのさらに上の同人ドリームの達成例として「カラミざかり」という作品が1シリーズで100万部を売り上げるという快挙を達成しました。
エロ同人DL販売の100万部突破は、一般のマンガで言えば500万部越えの収入になる
同人のDL販売は、商業マンガの印税10%とかいう世界と全然違い、5割~7割が作者の手取りになります。
カラミざかりは1巻880円、2巻1430円。3巻1430円の作品です。作者の手取りが450円~950円となります。
単純に間を取って700円として計算すると、7億円が作者の獲得金額となります。
実際にはシーズンごとに値引き販売などあるのでさらにその半額として計算しても3億~4億円の収益。
桂あいりさんが同人DL販売を始めたのは2019年からなので、3年足らずで3億円というまさに同人ドリームの体現者と言えます。
上場企業なのに利益が1億円以下の企業なんかがざらにある、ということを考えると作者さん一人で上場企業というレベルです。
しかも、この作品はヤンマガWEBで一般向け作品として連載されることになりました。
この連載から作品を知り、エロ同人版を買う人も増えるんだろうなと考えるとまだまだ勢いは続きそう……。
エロの世界での販売本数100万部越えは、商業エロ漫画でも限られた人しか達成していない
エロ漫画は一時期今よりもずっと売り上げが凄い時期があって、
・鳴子ハナハル先生の「少女マテリアル」が一冊のみで売り上げ100万部を超え、印税で1.3億円を突破したことがニュースになったこともありますが
・世徒ゆうき先生の「ストリンジェンド」が70万部を超えたこともありました。鳴子ハナハル先生と違って世徒ゆうき先生はシリーズで5冊出されているので累計だと200万くらいいってるかもしれませんね。
なお、一部でカルト的な人気を誇る「クジラックス」先生の単行本は発売した年だけで累計10万部を越えています。
それでも、100万部越えを達成したという人はそんなにいないはずです。最近だと10万部突破でも結構話題になるレベルかなと思っています。
そんな中、同人の世界では5万部、10万部越えの作品が結構出てくる
100万部越を達成した「カラミざかり」の作者である「桂あいり」さんは当然同人のDL販売ではトップクラスですが、それでも1位ではありません。
DLSite、FANZA合計での販売数は47万部。もちろんえげつない数字ではあるのですが累計販売数ではトップ10位くらいです。
DL販売における最強サークル一覧
これらを上回る、あるいはそれに負けない強さを持ったサークルはこんな感じです。
サークル名 | 累計販売数 | 販売本数 |
青水庵 | 196万 | 32作品 |
クリムゾン | 161万 | 325作品 |
チンジャオ娘 | 123万 | 29作品 |
リリックボックス | 125万 | 75作品 |
まろん☆まろん | 93万 | 10作品 |
Digital Lover(なかじまゆか) | 77.5万 | 43作品 |
ひぐま屋 | 77.5万 | 14作品 |
サイクロン | 62万 | 35作品 |
サイクロン | 62万 | 35作品 |
STUDIOふあん | 61万 | 73作品 |
ヨールキ・パールキ | 53万 | 10作品 |
立花オミナ | 52万 | 14作品 |
mon-petit | 43万 | 6作品 |
黒巣ガタリ | 42万 | 17作品 |
トイレ籠 | 36万 | 14作品 |
のり御膳 | 36万 | 13作品 |
三崎 | 34万 | 39作品 |
ひまわりのたね | 34万 | 6作品 |
すぺ | 33.5万 | 25作品 |
IronSugar | 約25万 | 19作品 |
ひとのふんどし | 24万 | 10作品 |
山雲 | 24万 | 7作品 |
ハイエロ | 20万 | 19作品 |
エアリーソックス | 17万 | 8作品 |
ぐれーともす | 16万 | 5作品 |
まだFANZAの有力サークルさんの5分の1くらいしか紹介できてないですがとりあえずこんなもんかな。
※青水庵、リリックボックス、チンジャオ娘の3つはDLSiteで実施された「0円音声サンプル」のDL販売が含まれているので実際は20万~30万を引いた数字になる。
※他にも、DMMの極端な広告宣伝で伸びた一発もの作品や90%オフなどの極端な値引きを濫発する「すいのせ」や「Tiramisu」などのCG系サークルを除いている。
※また、以下のサークルはFANZA10円セールで数字を大幅にかさまししているのでランキングからは除外している。
サークル名 | 累計販売数 | 販売本数 |
みくろぺえじ | 52万 | 15作品 |
あかざわRED | 42万部 | 60作品 |
SHIS | 40万 | 8作品 |
パンとバタフライ | 40万 | 18作品 |
鳳まひろ | 40万 | 35作品 |
当たり前だけれど、このような勝ち組になれる人はごく一部。
2018年のデータですが、売上本数別にサークル数を分類したところ、このような結果になっています。
https://dojindb.net/d/?c=amount_seg
1作品ではなく「累計販売数」が10000を越えるサークルは全体の1.9%。これが売り上げの51.3%を占めています。
DLSiteはもうちょっとマイルドな感じになっていますが、なんとも恐ろしい数字ですよね。
エロ同人はFANZAとDLSite以外でさらに倍売れている
ところで、「カラミざかり」についてですが、販売本数100万部を超えたと書きましたが、
上にあげたようにFANZAとDLSiteの販売本数合計だと47万部しかありません。他はどこから売り上げが上がっているのでしょうか。
これに関していえば「カラミざかり」の作者が他に出しているエロ漫画のタイトルで検索した時の順位が参考になると思います。
①コミックシーモア
②Amazon
③eBookJapan
④Honto
⑤めちゃコミック
⑥bookwalker
⑦ヨドバシ
⑧ソニーブック
⑨まんが王国
⑩BookLive!
⑪ぼるコミ
⑫Amebaマンガ
⑬アニメイト
⑭楽天book
⑮DLSite
⑯DMMBook
このようになっており、実際これらのところにもすべて「カラミざかり」は配信されています。
また、ツイッター検索をしてみると、BookLive!とめちゃコミックで読んでる人が多いのがすぐにわかります。
もちろん今でもFANZAが一番強く、DLSiteが次に強いのでしょうが、
もはやエロ同人は、普通のマンガと同じような流通に載っており、そこの18禁コーナーで売れているということがわかります。
なので、FANZAとDLSiteの売り上げだけでもすごいのに、エロ同人って実際はその倍くらい売れてるんですよね……。
■電子書店売上ランキング(デンシマン調べ)
— デンシマン@電子書籍20年 (@denshiman) November 11, 2020
1)Kindle
2)コミックシーモア
3)ピッコマ
4)めちゃコミック
5)LINEマンガ
6)レンタ
7)BookLive
8)イーブック
9)FANZA
9)dブック
10)DMM
11)まんが王国
12)ブックウォーカー
注)すべて独自調査による個人の見解を含んだものです。
「ブラックジャックによろしく」の作者がやってる「電書バト」というサービスは、電子書籍の取次としてめっちゃ儲かってそう
知り合いの方にも話を聞きましたが確かにFANZAやDLSite以外での売り上げが大分伸びてきているそうです。
こういう人たちは電子書籍の取次を利用しているようです。
その一つが「電書バト」というサービス。ブラックジャックによろしくの作者さんが運営していることで有名ですね。
densho810.com
そう考えると電書バトさんめっちゃ儲かってそうだなと思いますね…。佐藤さんめっちゃ頭いいなぁ。
余談 エロゲの名シナリオライターさんがどんどんラノベやアニメ脚本に流出してしまったように、エロ漫画家さんも一般に流出してしまう事例が増えてきてわたしは悲しい
しかし、エロ漫画の世界はこうした目に見える大ヒット数字を目にする機会が減ってきたような気がします。
ここ数年は電子化やサブスクサービスの影響があるため、正確な数字が上がってこないので何とも言えませんが。
実力がある作家さんはエロかエロではないかに関係なく一般紙でも活躍されていたのは昔から変わりませんが、
hentai-matome.net
こういう事情が関係あるのか、最近は特にプロのエロ漫画家の人が積極的にラノベの挿絵や商業誌のコミカライズなどに進出するようになっている印象があります。
何名かの方は「戻ってきてくれ~」っていう気持ちになってますね。
なんといっても有名なのは「食戟のソーマ」のtosh先生だと思いますが、そのた目立った例で言えば
・ラノベ表紙絵だと、飯田ぽち先生が挿絵を務めた作品がアニメ化までされたり
・智弘カイ先生の「デスラバ」シリーズも5巻「発売」時点=4巻分で50万部を突破しており、現在8巻まで出ているので100万部突破していると思われます。
なろう作品のコミカライズでは私が「エロ本を買ったことがある作者さん」だけでも15人くらいのプロのエロ漫画家さんが作画を担当されています。
個人的にはぐすたふ先生が挿絵を担当されてるこの作品お勧め。絵だけで買えるレベル。
どちらでも活躍してくれれば一番いいんですが、何人かは一般連載が始まったことによってエロ漫画一切描かなくなった人もいるんですよね……悲しい。