岸田政権の支持率低下は残念でもなく当然
mainichi.jp
まずこの調査についてだが、以前調査方法の問題を指摘されていた「毎日新聞と社会調査研究センター」調べとあるのでもうちょっと慎重に見ておきたい。
今回も、なぜか運用委託先は前回の調査対象の連絡先をそのまんま保持しているというところが問題視されている。
毎日新聞と社会調査研究センターが8月20、21日に全国世論調査を実施した際、7月の前回調査で対象とした携帯電話番号に再度、電話をおかけするミスが発生しました。調査システムの運用委託先が設定操作を誤ったもので、前回対象者からのご回答は集計対象から外す措置を取りました。
「岸田首相が何もしてない」という批判はよく言われているし、クルーグマンもそう批判している
news.yahoo.co.jp
というか私も過去記事でそういう風に言っている。
ただ、私がこの言葉で岸田さんを批判するニュアンスと
他の人が言う「何もしてない」は同じ言葉だけど
なんか意味するところが違うんじゃないかと思ったりもする。
ということで簡単に整理しておきます。
日本経済は「下りエスカレーター」に乗ってる状態なので根本的にその向きを変えられないと「何もしてない未満」になる
これはさすがにみなさん共有できていると思うのですが
岸田さんは一応いろいろやっていて
「何もしてない未満→何もしてない状態にまでは持ち込んでる」ということです。
要するになにかはやってるけど対処療法的なものばかりにとどまっており
思い切りが足りないし動きも遅いってことです。
ここを間違うと、岸田批判もなんかズレたものになると思ってます。
岸田さんはもともと安倍さんと違って財政健全化に重点を置くタイプです。内閣府が6月くらいに出した資料でも賢い支出(wise spending)やEBPM(証拠に基づく政策立案)がやたらと強調されていました。
財政規律を意識した上でデータを待って行動するというのは一見正しいように思いますが動きがトロいです。しかもせっかくのEBPMを志向していても、岸田さんがあまり国民への情報発信に積極的ではありません。みなさんは今回の官房長官の名前と顔がぱっと出てきますか?(ちなみにこの人は安倍派=清和会事務総長です)
ja.wikipedia.org
実際に出てきたものとしてはこんな感じですね。一個一個について具体的には触れませんが、完全に対処療法にとどまります。いいかえればジリ貧です。要するに政府が様々な問題に対してコントロールできず、後追いでパッチを当ててるだけということを意味しています。
www.jiji.com
smbiz.asahi.com
中長期的に一番やばい問題であるエネルギー問題について動きがあまりに遅いのも、ドイツなどと比較すると明白でしょう。原発問題も全く対応してないわけではなくてこのように議論は進めてるんですがタイムリミットを意識しているように見えない。GX戦略は10年先の話であって今年や来年の問題を解決できません。
www3.nhk.or.jp
9月の第二次正予算が残された希望となっていますが、今のところは経済対策は数兆円規模にとどまり防衛費の方が拡張されそうだという空気になってます。
www.nikkei.com
www.dlri.co.jp
安倍さんの方針からの脱却といいつつ、実際はかなりの部分黒田さんの金融緩和継続に依存しており、仮に黒田さんの後に路線転換ということになると、アメリカなどがリセッションを入る前に一人だけ先に崩れ始め、そのあとでアメリカなどの景気後退が来たらいよいよもう何も支えがなくてつぶれていく、という感じになりかねません。
こういうもろもろを指して「何もしてない」と批判されているわけです。
先日、逃避衝動からBASARAを一気読み返ししてしまった。
— 山形敦子**Atsuko Yamagata (@AtsukoYamagata) 2021年8月28日
90年代の漫画だけど、今の日本にリンクする台詞が多々。。。
革命というものがどうやって起こり、独裁政権が倒されていくのかというのが克明にわかる。
やはり田村由美は天才。#田村由美 #basara pic.twitter.com/bRTSX8mm0t
そういえば、このコマで描かれてる最後の王って、先代にとんでもない暴君がいてその後権力者争いで勝ち残ったゆえに猜疑心にとらわれた小人物だったなあとおもったり。
al.dmm.com
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世論調査で維新がやたら伸びてる点が非常に気持ち悪い
ここからが本題です。
繰り返しますが、岸田さんは「本当に何もしていない」わけではなくて「最低限のことはやっているがこれだけでは不十分だ」ということです。今までにろくでもないことしてるのにやってる感を出してる維新よりはマシなんですよ。
ところが今回の調査結果だけ見ると「何もしてないように見えるラインまでは頑張ってる」よりも「やってる感だけ出してるが実際は何もやってないしなんならマイナス」な維新の方が良いように感じてるのではとか、そういう風にテレビが世論を誘導してるのかなって思ってしまう。
もっといえば、統一教会の問題だけを気にしているのかな?と思ってしまう。
実際今回の件で岸田さんの支持率が下がること自体はいいんですよ。実際岸田さんは統一教会の問題について認識が甘いように見えるので、この機会にできる限り一掃してほしいという意味で一時的に支持率を落とすというのは彼のボケた目を覚まさせる意味でもすごく大事。
かといって、そこで「代わりに」維新を推すとか私には全く理解できません。
いうまでもないけど現在の状況において、維新や立憲民主党は岸田さん以上に何もできませんよ。何もしないではなくて何もできない。安倍という人物があれだけ国内政治で問題を抱えながらも国外からは評価されているのは最近の首相の中では彼だけが「何もしない」のラインを越えて流れを変えるべく「思い切った」「狂気じみた」政策を行おうとしたからです。クルーグマンが言うように二度にわたる消費税増税が台無しにしてしまいましたが。
岸田さんを支持する人も「安倍さんよりは規律の面ではマシそう」とかそういう理由の人が多いみたいですが、ぶっちゃけ「何もしないレベル」でとどまってしまう人を選んだり支持することは、今の日本だと緩慢な自殺と同義です。そのことが岸田さんの件でもうちょっと知れ渡るといいのかなと思います。日本という国は今そのくらい詰みかけてる。 国民一人一人が岸田さんの政策をちゃんとチェックして「岸田さんにはこういうところが不十分だからもっと思い切ってやれ」ということを言っていくしかないと思うけどなあ……。
まじで自民党の一強状態まして自民公明連立があまりに盤石な状態は私としては嫌悪すべき状況だし、私自身は投票では一度も自民にも公明に投票してないけども、さすがに維新が勢力伸ばすくらいだったら自民党に投票するかな……。