頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「ガチ恋粘着獣」 くっそ面白かった。「公式が解釈違いと騒ぐレベルのクレーマー」がゴロゴロ登場するので「女性オタクの棲む暗い池」の実態が嫌でもわかる

「幸せな推し活はみな同じであり、不幸な推し活はそれぞれ(多様な)不幸(の姿をもつの)だ。

アンナ・カレーニナの原理。成功するためのいくつかの要素のうち、どれか1つでも欠けると、その努力 は失敗に終わるというものである。従って、この原則に従うと、成功する努力とは、あらゆる可能な欠点を回避したものである。

今ブログ更新自粛中だけどこの作品紹介だけはこっちのブログでも共有しておきます。



「ガチ恋粘着獣」という作品、めちゃくちゃおもしろかったです。2023年から読んだマンガの中ではベスト作品かもしれない。


6巻まではそこそこというか微妙……という評価だったけど、6巻途中からの「ギンガ編」は間違いなく超面白い。


物語をよむことの快楽の一つに、知らない世界の解像度が上がることが挙げられると思うが、本作品はまさに「理解し難い世界」「常人が想像力を働かせるだけでは到達が難しい世界」に対する解像度が上がっていくことによる快楽をドバドバっと提供してくれる。



「公式が解釈違いと騒ぐハイレベルなクレーマー」は確実に「実在」するだろう、と感じさせてくれるパワーがある作品

最近かなり解像度が高い人から女オタク界隈に関する解説記事が登場して話題になった。*1

この中に

anond.hatelabo.jp

「公式が解釈違い」と騒ぐ人はクレーマーの中でも相当なハイレベルだと思います。

とあったのだが、本作に登場する異常者たちは全員が「公式が解釈違い」という思考を持つ。「公式が解釈違い」どころか「実在の人物(中身)が解釈違いだから実在の人物を殺そう」とするレベル。



私はそもそもこのレベルの異常者に対しては関心を持てなかったところがあるのだが本作品を見て、なんかこう「人間って面白・・・っ!」って気分になった。




これだけ読むとただの異常者博覧会かと思うかもしれないがそうではないと感じる。



かつて西尾維新作品が好きだったことがある人にはたまらなく刺さる作品だと思う。

本作は異常者の異常者っぷりを消費して終わりという感じの話がやりたい割にはあまりにも描写が丁寧すぎる。

・「異常者」がなぜ生まれるのかという「きっかけ」と「悪化の過程」を丁寧に描いてくれる。後のエピソードになればなるほど詳細さが増す。

 本作のタイトルである「ガチコイ粘着獣」というのは「ガチコイ→粘着→獣」と分解でき、「ガチ恋」から一線を越えると「粘着」になり、さらに人としてのルールを超越することで「獣」へと堕ちていくことがわかる。

・エピソードごとに複数人の異常者が登場し、タイプがそれぞれ違うため異常者界隈での「多様性」がわかる。

・同じ「推し活」をやってる中でもまともなままで終わる人との「分岐」を描いてくれているので対比がわかりやすい。



どれだけ丁寧に描写されようが共感どころか納得すらできないのだが、とりあえず読者が異常者たちの心理を理解するところまではサポートしてくれる。

・なぜこの異常者どもは真顔で「公式が解釈違い」などと言い出すのか。なぜ神=供給元を殺すようなことをしようとするのか。

・そこにどういう原理が働いているのか。この異常者たちは何を求めているのか

そういうことを学ぶことができる。そういう異常者の気持ちを、受け止める側がどう見ているかもわかる。

www.tyoshiki.com

西尾維新ほど「異常者」を当たり前として描いてはくれないが、でも「異常者」に対して妙に優しい目線を向けているなと感じる作品だ。

好き嫌いはめちゃくちゃ分かれると思うが、私は大好きだ。



1巻~2巻 スバル編

主なストーカーは2名。 住居侵入罪(130条)2名、監禁罪(220条)1名。自殺未遂1名。ストーカー(ストーカー規制法18条違反)1名。

この時は「あー・・・うん」くらいの感じ。
まだキャラクターがきちんと固まってない感じがする。
「わかりやすく異常者を描こうとしすぎてコメディみたいになってんな」という印象。
作者にとっては黒歴史的なパートかも。



3巻~6巻 コスモ編

主なストーカーは3名。 住居侵入罪(130条)2名。脅迫罪(刑法222条)1名。傷害罪(刑法204条)1名。ストーカー(ストーカー規制法18条違反)1名。

キャラの描写が丁寧になり、複雑な葛藤などが感じられるようになった。
主なストーカーは3名。最近話題になった「村長タイプ」も登場する。

沼の主のことを我々は「村長」と呼んでいる。長文お気持ちコメントと当て擦りで村のルールを作り、自分の気に入らない人間は村八分にして虐めて追い出す。まともな人間は虐めに疲れて村を去る。村長のいる界隈は衰退の一歩を辿る。

終盤は「うーん」な感じ。



7巻~(多分)13巻 ギンガ編

主なストーカーは3名。 住居侵入罪(130条)2名。器物破損罪(刑法261条)1名。電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条)1名、名誉毀損罪(刑法230条)1名。盗聴器設置(電気通信事業者法違反・電波法違反・迷惑防止条例違反)1名。ストーカー(ストーカー規制法18条違反)2名。


今までの積み重ねがついに開花した感じ。めっちゃ面白いと感じる。

多くの人にとってのメインディッシュはミツクリさんの方なのだろうか。

私はリンゴさんが好きですね。
わたしのこと知ってる人は、よしきもだいたいこんなかんじだぞとか言われそう。ちげーよ!


ギンガ編はまだ完結していないので、続きが待ち遠しい。13巻、13巻はまだか…!

こちらだけはギンガ編が完結したら、別途記事を分けて語りたいと思う。




これほどまでに引力がつよいマンガなかなかない…。

「読むのしんどい。けど読むのやめられない……」って引きずり込まれる感覚で読んだの「アスペル・カノジョ」以来だと思う。

カラオケ行こうかなー。

*1:その前座となった「さいたま」さんのレッテル貼りまくり記事はまだしも、「あままこ」さんのクソつまらないゲロカス論評もどきな逆貼り記事は本当に不快だったが、この記事が出るためのきっかけになったのであれば罪を減じられて良いのではないか