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「現在のみなし残業制度」下の会社で起きていたことを考えたら、いわゆる「高度プロフェッショナル制度」には絶対に賛成できない

いわゆる高度プロフェッショナル制度自体に関しては以下の3記事が最重要と考えています。

名前と実態があっておらず、いわゆるでしかないというのがまず重要になります。

https://news.yahoo.co.jp/byline/uenishimitsuko/20180601-00085937/
本当は存在しない「高度プロフェッショナル制度」~欺瞞性を曝く~(嶋崎量) - 個人 - Yahoo!ニュース
実は日本人よりよく働く米国人、その理由とは 日本で機能するとは限らない「高度プロフェッショナル制度」 | JBpress(日本ビジネスプレス)

上司からの圧力が過大で、要求が本人の許容力を超える場合、却下できる正当性を持てる労働環境が必要になる。だが今の日本では、高プロというシステム導入により、以前よりも苦しい境遇に陥る人が増えることになるだろう。

まずは読んでください。
根本的な問題として、使用者に一方的に有利な片務的な変更だと言うことを覚えておくべきであり、労働者として受け入れるべき理由が何一つ見当たらないとかんがえています。
にもかかわらず、1:実態と乖離した名称、2:主語を曖昧にして労働者にも利益があるように思わせる錯誤狙い、3:海外でやってるという日本人のコンプレックス狙い、4:これを広げなければ日本は滅びる、などポエム的な話など、まともに議論と呼ぶに値しないような話ばかりが広がっています。

結局与党は議論などどうでもよくて数で押し切りたいと思っており、かつ国民もどうせ数で決まると思っているから関心が薄いというやばい状態に見えます。


あとこのあたりは参考までに。
高プロ制度の解説をします(佐々木亮) - 個人 - Yahoo!ニュース
細野豪志議員のブログを題材にして「高度プロフェッショナル制度」を解説してみた。(佐々木亮) - 個人 - Yahoo!ニュース
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上記のようにすでにいろいろと詳しい説明がされているのでいまさら私がなにか解説できることは無いです。とにかく関心を持ってひとつだけでも記事を読んで欲しい。

この件に関して、労働市場の流動性が低いことが問題だから、まずは解雇規制緩和をという話をしている人がいますが、それならなおさらそういった前提となる部分についてちゃんと議論されてない状況なのだから高度プロフェッショナル制度の決定なんか先送りに決まってますよね?

「ジョブ・ディスクリプションの義務付けがない高度プロフェッショナル制度」は「残業代を払わなくて良いみなし残業制度」にすぎない

以前勤めていた会社についてこういう記事を書きました。

このランキング10位以内に入ってる会社です。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180531-00222911-toyo-bus_all

実際に勤めていた私はこのランキングに違和感を感じます。
私はその会社でめちゃくちゃ労働時間が長く、かつその労働時間で比較すると手取り給料は他社より少なかったからです。


そう、このランキングにはからくりが2つ有る。

①確かに基本給は競合他社よりかなり高かった。しかしそれはみなし残業制(月◯時間の残業代を予め含む)だから。みなし残業を含むため基本給が高く、かつ労働時間は過小に申告されていると思われる。

②給料の平均値が高いのは何故かと言うと歳の若い人が極端に少なく、年配の人ばかりが残っている会社だったから。単に平均値が高いだけだと「若い人が定着しない会社」である危険性がある

実際「高度プロフェッショナル制度」って、よほどうまくやらないと、労働者が不幸になるだけじゃなく、会社経営者から見ても「見た目の数字だけは良いけど中身ボロボロ」な会社になってしまう気がするんですよね。経団連はこの制度についてバラ色の未来を想像してるみたいですが、なんでそんなに楽観的なの?馬鹿なの?死ぬの?って思ってしまう。

私は「ジョブ・ディスクリプションの義務付けがない高度プロフェッショナル制度」は「残業代を払わなくて良いみなし残業制度」にすぎないと考えていますので私が勤めていた会社が「みなし残業制度」下でどういう状態だったかをお伝えすることで、少し参考になるかもしれません。


「現在のみなし残業制度」下のとある会社で起きてたことを考えたら、いわゆる「高度プロフェッショナル制度」には絶対に賛成できない

さて、私の勤めていた会社では月◯時間の残業代を予め含む給料が毎月支払われていました。

しかし実際は、実際の労働時間がそのみなし残業時間を下回ったことはありません。深夜残業も非常に多かった。今計算すると、平均して月110時間はみなし残業に含まれない残業がありました。そして、それらは一切申告してないし多分上の統計の労働時間にも含まれていないと思います。対外的には私達の月110時間の残業は存在しないことになっているわけです。

社内規定では、申告すればみなし残業外として残業を申告できる時間もありました。深夜残業とか休日出勤とかね。しかしこれらの申請は「上司の指示によるもの」かあるいは「こちらが前日までに申請しておく」おくことが条件となっていました。 みなし残業時間以外の残業申告を上に申告したら課長が怒られるのでしょう。課長は「明確には残業を指示しません」。ノルマを厳しくして自主的に残業するように仕向けるだけです。ノルマを達成できないやつをみんなの前で締め上げることによって、「ノルマを達成できないやつは何も言う資格はない」という空気を作り、誰も残業申請なんてできない状態にしていました。結局、月◯時間の残業の範囲内でノルマを達成している人は一人しかいませんでした。(以前記事で書いた、やたら優秀だった人です


ちなみにこういう形でノルマがなんだかんだ達成されていくせいか、年々ノルマは上がっていきました。そのために売上は毎年伸び続けていましたし、しかも人件費は上がらないわけですからコストは据え置き。対外的には業績は上がり続け、株価も2013年から2015年にかけて約2倍に上昇しました。労働者としてクソだと思う会社ほど、株価は上がる。これマメな


確かに「企業業績」を考えたら、みなし残業制度や高度プロフェッショナル制度を入れたがる会社経営者の気持ちはわかります。短期的にはめちゃくちゃ美味しい。しかし、一度この味を知ってそれに依存してしまうと、経営者はもとより、それ以上にミドルマネジメント層が腐っていき、長期的には会社を滅ぼす方向に働くと私は思うのです。

古い社風のままタダで残業させ放題になると、時間の使い方が非効率になり、そういう働き方に耐えられる人だけが残り、結果として年配者から若者へのパワハラがえげつないことになる

私の勤めていた部署は、以前に書いていたとおり年配者が非常に多く、若い人がほとんどいませんでした。私がいたフロアに限って言えば女性社員はゼロでした。*1 事務作業で派遣社員の女性が一~ニ人いましたが、その人達もすごいペースで入れ替わり続けていました。

年配の方々の中には経験豊富で優秀な人もいらっしゃいました。

しかし大抵の人は、とにかく長時間活動してなんとか終わらせようというタイプ。とにかく残業に抵抗がない。むしろ残業なれしすぎていて、家は帰って寝るだけという考えの人が多い。(年配の人たちは特に残業なれしてる印象が強いですね)

だから日中はダラダラと仕事をしていて、管理職の目の届かないところではしょっちゅう寝たり別のことをしている。他にも必要でない仕事をどんどん増やそうとする。本来お客さんにやってもらうべきところをサービスと言って引き受けたりして資料作成や書類関係は本当にひどかった。しかしなんといっても一番多いのは夕方くらいから始まる会議や雑談の多さ。これは本当に勘弁してほしかった。


さらに、定時を越えると管理職は建前上はなんにも指示ができないからみんなますますだらけた雰囲気になります。何の指示もなく監督もほとんどきいてない状態でダラダラとみんなが社内に残っていると、カオス状態になっていくんですね。私は「仕事が終わったらさっさと家に帰りたい人間」なのですが、彼らはそうじゃない。会社に居残って同年代の人間とだべるほうが家に帰るより楽しいらしい。毎日が文化祭というか、会社明けの飲み会でやるようなことを会社でやっている。彼らがそういうのを好きなだけなら勝手にやってくれればいいんだけど、若い人間がこれに付き合わないと、仲間として認めない。好きで会社に残ってるだけなのに、早く帰ろうとする人間にいい顔をしない。

最初はそうじゃなかったんだと思いますが、「サービス残業」が常態化してくると人間関係もそのサービス残業時間の中で出来上がってくるようです。さらにサービス残業に抵抗がない人間が残るようになっていくため、それが当たり前になってくる。規律がゆるゆるになってくるんですね。

しかも、それぞれの人間の職務が関連しているから、特にあとから入社した人間なんかは、そうやってだらけた感じで仕事してる人に合わせないと仕事を教えなかったり、顧客に紹介しなかったり、ちゃんと指示をしなかったりと嫌がらせを受けて仕事ができなくなってしまう。仕方がないから従順に振る舞ってたら、飲み会の場でもないのにいろいろとパワハラめいたやり取りが増えてくる。(飲み会であってもパワハラはダメですけどね!)

と、このあたり、言葉でうまく説明できないです。とにかく、毎日酒抜きのシラフ状態でつまらない会社の飲み会に参加させられてるような雰囲気で地獄でした

もちろん管理職の人もまずいとは思っていて、毎朝のようにミーティングをして引き締めをしようとしている課すらありました。しかし、根本的に、みなし残業制は建前上は「裁量労働」を前提にしています。 裁量労働でないものを裁量労働と言い張って制度を運用しているせいで、コントロールしきれなくなっている印象を受けました。 課長がきちんと部下をコントロールできていたのは6つの部署のうち1つだけだったと思います。しかもこれができたのは、新しい部署で年配の人がいなかったからだと思う。


「みなし残業制」や「高度プロフェッショナル制度」で最大の問題になるのは、残業に抵抗がない社員だけが残ってだらけた雰囲気の社風になってしまうこと

話の方もダラダラしてきたのでまとめます。

高度プロフェッショナル制度の話になると、会社経営者が無理やり社員を働かせる、みたいなイメージが強いですが、実際は、それに適応した年配社員やブラック社員が最大の問題になるように思います。

私がつとめていた会社は特にひどいケースだとは思いますが、
明確な職務規定なしに「みなし残業制」や「裁量労働制」の建前を導入すると、短期的には無理もきくでしょうが



①会社の規律がゆるゆるになって、ミドルマネジメントが利かなくなる恐れがあります。
②パワハラも結構起きて若手ほど辞めていく可能性があります。
③いざという危機が起きたら多分そういう会社ほど潰れやすいでしょう。というか潰れてくれ頼む



よほどマネジメントに自信があって「うちはちゃんと運用できる、社員もだらけたりはさせない」と確信できるのでなければ、会社にとってもあまり良い制度にはならないんじゃないかなぁ。

*1:当然ですが、わたしのいた部署が特にひどいのであって、会社全体で見ると部署によっては女性が活躍されているところもありました