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「サクラ姫 ネリマ証券」 なぜ多くの人は、よく仕組みを知らずに投信などの金融商品を買ってしまうのか

おすすめ度★★★★★(同人誌なので普通には買えないけどね。COMIC ZINという通販サイトで買えます)

単行本化キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 投資を始めようとする人すべてがこの本を読んでほしい!


この本には、注意書きとしてこのように書かれていますがとんでもない。誰が読んでもとても役に立ちます。

「これを読むと金融商品の基礎知識が多少は得られるかもしれない漫画の、まずは第一巻です
 金融商品入門者向けの本です。すでに経験豊富な人にはあまり役に立たない内容ですのでご注意ください」

「サクラ姫 ネリマ証券」という同人誌について

公式HPはこちらです。
siesta.la.coocan.jp

これは、サークルSIESTAさんが、自分の父親が退職金をもらった時に証券マンから金融商品の勧誘を受けたことをきっかけにいろんな金融商品について調べたり考えたりした経験を、マンガ形式でまとめたものです。

©サークルSIESTA「サクラ姫 ネリマ証券」1巻

市販の本だと、どうやって儲けるかとかそういう話ばかりが目立ちますが本当に「そもそも金融商品ってどういうものがあるの?どういう仕組みなの?」っていうのを、勧誘を受ける個人の側から考えて、その上で、上のコマにあるように「ちゃんと仕組みが分かってきたら面白いじゃないか」という部分を形にしてくれています。

ちなみに、二人の関係が、この手の解説ものにありがちな「先生と教え子もの」になっていないのがとてもよいです

好きな人ならすぐわかると思いますが、キャラデザインは「カード〇ャプターさくら」と「と〇よ」ちゃんをオマージュしています。しかし、見た目は大人になったさくらとと〇よちゃんなのに、さくら(新人証券マン)の性格が結構ゲスくて、「と〇よ」さん(作品中では「会長」)の方はものすごく堅実です(笑)


なので、あの手この手で商品をおススメしようとするさくらにたいして、ともよちゃんは初心者ながらガンガン突っ込んでいきます。

それについて、さくらは「聞かれない限りは」都合の悪いことは答えないけど、「ちゃんと質問したら」都合の悪いところも含めてものすごくわかりやすく」説明してくれます。お前はまどマギのQBかというくらい丁寧です。

さくらは性格はゲスだけど、決して人を騙して儲けようとしてるわけじゃない。「まじめに説明しても興味を持ってくれないどころか、まじめに説明しないでいいことばかりいう方が客が買う」と侮っているから説明しないだけなのです。


実際、ネットを見ててもそうですよね。

一から丁寧に説明しようとする人の話はあんまりちゃんと聞かないけど、「深いこと考えずにこの投信買えば儲かるよ」「私はこんなに儲かったよ。さああなたもやろう」ってアフィリエイターに言われたらそっちから買う人の方が多いですよね。 証券会社の人間は信用しないといいつつ、アフィリエイターのことはあっさり信じる。申し込みの手続きの説明とかメリットばかり説明されるほうを好む。 投資関係の雑誌とかでも、投資手法とかの回じゃなくて「この株が上がる」みたいな特集が組まれてる回が圧倒的に売り上げが伸びるそうですね(さらに凄腕投資家のおススメ株みたいな特集が好まれるそうで)ネットでも、ろくに勉強してない人が、有名投資家にイナゴをして場を荒らしまくってるのをよく見ます。


一番ひどいのは仮想通貨。明らかに95%以上の人が、何もわからずに「買えば上がるから」と思って適当に人に言われた株を買いまくってた。

まさにバブル特有の現象ですが、本当にすさまじき(古語)光景でした。

あの時、リスク度外視で「話題になってるアルトコイン」の情報を適当に垂れ流して仮想通貨アフィリエイトやってた人たちは本当にクソだと思うし、何人かはでにやってた人たち(たとえば「+ログ」など)を見てみたら、ちゃっかり仮想通貨カテゴリの記事は消してやがりますね。
あの時に死んだ人間には「自業自得」以外の何もかける言葉がないし、ひどいアフィやってた人たちはねこのうんこふめ。





そういう「気になるけど本当に大丈夫なの?」っていうことに対して、性格はゲスかもしれないけど、ちゃんと興味をもってくれればいいところも悪いところも教えてくれる存在がいれば頼もしいですよね。

この本は、そういう存在になってくれます。


金融商品の特殊性について

「なんで多くの人は、良く仕組みを知らないのに金融商品を買っちゃったりできるんだろうか?」のとてもわかりやすい答えなんですが。
この漫画ではめちゃくちゃわかりやすく説明してくれています。

「でもね、売れるのよなぜか。
 みんな、これがどんな商品なのかよくわからないまま買っていくわけよ
 会長からすると以外かもだけど。でもさ。
 たとえばテレビを買ってくると当たり前のようにテレビって映るじゃん?
 あたしはテレビの仕組みなんて全然わからないけれども、
 でもメーカーの技術者がなんかうまい具合に作ってくれてるからちゃんとテレビが見れる。
 そう考えると、仕組みがよくわかんないままものを買うのって普通のことだよ。


 冷蔵庫が冷えるのも。車が走るのも同じ。
 仕組みなんてわからんけど、具合が悪けりゃメーカーに文句を言えばいい。世の中そんな感じじゃん?」


「それに比べると、金融商品って割と特殊なんだな」



「そうなのだ。身の回りの商品にはあまりないパターンなんだよ。
 仮にこいつで大損しても、メーカーも販売店も何もしてくれない。
 誰も助けてくれない。 だから自分の頭だけが頼り。

 …のはずなんだけども。なんでかな。
 なんでもかんでもメーカー任せで済ませてると、なんかこうマヒするのかなぁ。
 まぁ、とにかくこいつを買うような客は、中の仕組みになんか関心を持ってくれないよ」

「……それはいけませんね」


「会長的にはダメですか」


「そういうよくわからないけど儲かりそうみたいなノリはいけません。
 そういうノリの人も商品もダメですっ」

私はこれ読んで結構目からうろこが落ちました

私は誰にもおすすめしてもらえずに自分で株式投資やっていて。
投資について語る知り合いも長いこといないで一人で黙々とやっていたから。

「投資が自己責任だと思わない」という人というのがあまりイメージできてなかった。

でも、よく考えたら「金融商品の方が特殊」なんですよね。


なるほど、仮想通貨ブームって「タピオカ行列に並ぶ」くらいの感覚でやってた人もいたのかもしれない。
そりゃCMがあの出川みたいなことになるよね。

あの「理由はわかんねえけど上がってます」ってノリは、人をすげえバカにしてると思ったけど、
むしろそういう「みんなやってる」「怖がらなくてもいいよ。簡単だよ」って方がいいのかもしれない。
そう考えるとめちゃくちゃ面白いなと。



でも、金融商品は金融商品だから、みんな楽しみながら知ってほしい

もちろん、「仕組みわかんなくて買うのが世の中の普通」かもしれなくても、金融商品にそんな理屈は通じません。

投信でも何でも、ちゃんと仕組みをわかっておいた方がいいです。



何と言っても、仕組みがわかると、すごい面白いです。

この漫画は、その「わかってみると面白いな」を形にしてくれているのでとってもおススメです。

この作品、楽しみながらものすごいリテラシー向上につながるので。
キャラデザの問題で難しいかもしれないけど、ぜひ完結した後にでも単行本化してほしいなー。

CPUの創りかた

CPUの創りかた

  • 作者:渡波 郁
  • 毎日コミュニケーションズ
Amazon
(実際SIESTAさんの別のシリーズは過去に市販化されています)

もしこの本が市販化されて手に取りやすくなったら、全力でプッシュしたいです。



それまでは、これまた傑作である「ワールドエンド・エコノミカ」をおススメしておきます