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「ひゃくえむ」で話題になった魚豊先生のビッグコミックスピリッツの新連載「チ。地球の運動について」が激アツなのでオススメ!

お勧め度★★★★★(2話の段階で★5つけたの初めてかもしれない)

毎週の連載を楽しみにしてる漫画はいろいろありますが、個人的に今すごいお気に入りなのが

「紛争でしたら八田まで」と「バトルグラウンドワーカーズ」と「チ。」です。


面白いのもそうだけど、なによりも「自分好み」という面が強い。

なので、みんなに読んでほしいというよりも、「この3作品を好きだという人とお友達になりたい」という感じ。


進撃の魚豊先生をすこれ

私が初めに魚豊先生の作品について知ったのはこの作品。

nlab.itmedia.co.jp

面白い面白くない、というより感情移入してしまって語りたくなるようなお話なんですよね。


次に話題になったのが陸上漫画の「ひゃくえむ。」

togetter.com

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ひゃくえむ。(1) (マガジンポケットコミックス)

ひゃくえむ。(1) (マガジンポケットコミックス)

  • 作者:魚豊
  • 発売日: 2019/06/07
  • メディア: Kindle版


いろいろと矛盾を抱えながらもずんずんと我が道を進んでいこうとする系のキャラクター

読んでもらうとわかると思うんですが、万人受けするタイプではないと思います。


スポーツマンガでありながらも「表現者」系の漫画に近い雰囲気があり曽田正人先生の作品とかが好きな人向けだと思います。

ただ、精神性は天才のそれなのだけれど、才能という意味では天才というわけではなくともすれば意識高い勘違い青二才野郎と紙一重なんですよね。

逆に「ひゃくえむ。」はそんなやべー存在をそばに持って苦しみながらあがき続ける人間が主人公やってたりします。


才能の差を自覚してなおどのようにあがくか。そんな感じの作品になっていて漫画なのに読んでて重たい感じです。


天才マンガと努力漫画の橋渡しとして「ベイビィ・ステップ」という漫画がありましたが、この作品は中間ではなくそのどちらでもない感じ。


本来その資格をもたないものが王道を行こうとするといばらの道になるのですがそんな感じというかうーんうまくいえない。鬼滅の刃に出てくる上弦の月一位の鬼さんとかの話なんかもちらつく感じです。



主人公の精神のありようが、「瀬戸口廉也さん」の作品の主人公にものすごく近い感じがします。

www.tyoshiki.com

頭で考えすぎて、自分の心がわからないという悩みを抱えていた主人公。 そのため不合理で、リスクが大きすぎるけど自分がやりたいと思ったことを「あえて」選択することにとても魅力を覚える。そうでもしないと、自分というものが存在しないと感じてしまう。利口な選択を繰り返して、でも心が動かないままずっと生きるより、自分が心動く瞬間を追い求めていきたい、とそう考えてしまう。

瀬戸口廉也作品が好きな人ならマストバイだと思うんですよマジで。





ビッグコミックスピリッツでの新連載「チ。」は2話にしてすでに傑作の予感

1話の時点では様子見してたんですが、2話が素晴らしかったのでもうこれは追いかけるの確定。

小学館様はぜひ2話までは試し読みできるようにしてほしいよおおおおお。

誰が読んでも主人公の「すごみ」がわかる普遍性のある設定が良い

何が凄いって、今まではどうしても主人公に「独りよがり」感があったんですよ。
それはそれで魅力的だったんですがやはり普遍的な何かをつかむには少し弱いところがあったと思う。

でも「チ。」は違う。

・当時では間違っていているとされ、のちの世に正しいということを私たちが知っている「地動説」がテーマ
・先人たちの魂を継承する(たった2話で二人の先人から大切なものを引き継ぐ)
・それが正しいからではなく「それが美しいから」という美学の問題として描いている

この3つの要素を合わせることで、万人でも主人公の「すごみ」がわかるように普遍性を獲得していると思います。

なので今までの2作品はかなり人を選ぶ作品だったと思うのですが、この作品はマジでみなさんにお勧めしたい。

「現世」を否定する神学(イデオロギー)の世界と、「現世」を肯定する知性の世界の対立という構造も今の世の中にすごくマッチしている

F「人はみんな、現世は醜く貪欲でけがれていて、天国は清く美しいという。だが、私はそんなの認めない。
 神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。
 それを知るのに、盲信も金銭も地位も要らない。
 知性だけ携えて、小さな頭蓋の中で神の偉業を理解してみせる。
 ゆえに、私は聖書ではなく、自然を読むのだ。」

主人公「そ、そんな人生……怖くはないのですか?」


F「怖い。だが、怖くない人生など、その本質を欠く」

私は今のネットを見ていると、「神学」の時代に先祖返りしている人がたくさんいるなと思います。

格差が拡大し固定されつつあり人一人を簡単に蹂躙する強固な社会構造の中で

現世にはすでに希望を見いだせないのか特定のイデオロギーを信じて、それを信奉していれば自分は清く正しくいられる、天国にいけると信じてそうな感じの人たちですね。

現世への不満もあって、他者に対して異常に攻撃的で、自らが属するイデオロギーに過剰に尽くそうとする人たち。

現実に起きていることよりも、同じ信者たちの声に同調することで自分の存在意義を確認しようとする人たち。

私には「ブラック企業」に所属する奴隷たちと何が違うのか全然わかりませんが、本人たちはそれに「やりがい」や「生きがい」を感じてるように見えます。

でも、そういう人たちが幅を利かせている環境では、抗いがたいものを感じる人も多いと思います。


そういう時にどうやって自分の信じる道を選ぶか、そのための勇気をどうやって出せばよいのか、そのあたりを感じさせてくれる作品になると思います。


かなり挑戦的なテーマなので今回の作品がデビュー作だったら大丈夫かな……って思いますが、魚豊先生なら…魚豊先生ならきっと何とかしてくれる(盲信)



というわけで、今からこの作品の展開がとても楽しみです。

みんなも読んでほしいし、読んでこの作品好きっていう人はこれから先も一緒に応援していきましょう。



www.tyoshiki.com
冒頭で名前を挙げた「バトルグラウンドワーカーズ」も最新話がどん底からの再起を描いててめっちゃ興奮しました。

こちらも今がお勧めのよみはじめポイントだと思うので、ぜひ合わせてビッグコミックスピリッツでチェックしてほしい。