望月さんのコラム?が原案の作品をドラマ化したもの。
私の身内で映画版を見た人からの評判がクッソ悪かったので映画版は見てないのだけれど、その同じ友人はドラマ版はかなりよかったと言ってたのでその人を信じてみることにしました。
ちょうどこんなネタもあったので
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英語の勉強がてらLLNを試すべく「英語音声&日本語字幕」でみました。(字幕と英語が一致してないのなんなん?)
序盤から、明確に「事実とは違うフィクションです」というのをかなり明確にしている
あと、ユースケ・サンタマリアは、ツイッターで政権に疑問を呈した女性アイドルにテレビで「芸能人は政治を知らないんだから黙ってなさい」みたいなことも言います。 https://t.co/OexixoHxFq
— 町山智浩 (@TomoMachi) January 16, 2022
町山さんは、竹中平蔵、山口敬之 、高橋洋一、加藤清隆、八代英輝あたりだと言いたいんでしょうね。あとは、おもむろに「AI詐欺」って大々的に出してるので、監督の中では「大澤昇平」氏も意識してるんでしょう。
こんな感じで、この手の人が「元ネタ」を見つけて喜ぶような作りになってます。
FGOのハイサーヴァントよりもっと節操なくいろんな要素を突っ込んだせいで、元ネタの味が薄れてただのフレーバーになってますね。 まあこれはドラマの中の本丸とは違うのですが、それにしても節操ないなーっていう印象。
リアリティで言えば「ウマ娘」レベルを志向しているのかと思ったら「SHIROBAKO」レベルだった
しかも、「史実の馬へのリスペクトを感じさせない」ウマ娘という感じ。ウマ娘でシンボリルドルフとナリタブライアン合体させて一人のキャラにしてたら怒ると思うんだけれど、この時点で初手でこれを見せられたうえで「リアルな作品だ」っていうんだろうか?
もちろん、ウマ娘のように史実ネタをフレーバーにしつつも、きちんと物語として独立して面白いとか逆に事実に対してリスペクトを持った描写があるというのであればそれはいい作品だと思います。この点において初手から「これが現実の物語です」っていう体裁は潔く切り捨てている。
「望月さん視点で語られる衝撃の真実のドキュメンタリー!」みたいなノリだったら見るのやめようと思ってたけど、きちんと「あくまで元ネタはフレーバーで、ドラマとして面白いものを目指します」という姿勢を感じる。
このドラマでの本丸は「森友」事件
私は過去記事見てもらえばわかると思いますが、森友問題については明確に批判してる立場です。
なので、この部分についてはむしろ現場取材など事実に基づいてしっかり描いてくれればいいなと思ってたんですがこのドラマではそういう感じではないですね。
あくまでも「赤木さん」をモデルに見立てた「鈴木」という人物と、組織の中で板挟みになって疲弊していく様子を丁寧に描いている。
国会における首相答弁などはそのまんま事実のものを利用するなどして「あの事件がモチーフですよ」と一定の層にアピールはしているものの、メインである「鈴木」の描写は赤木さんとは完全に別物だ。
谷氏をモチーフとした「村上」の描写に至っては、ドラマのために完全に現実と違う描写になっており、現実に寄せようという意思を感じない。
というより、ここまで現実の事件と関係ないのであれば、望月さん関係ないよね。
それとも望月さんの著書は森友問題についてこんな薄っぺらい記述しかないのか?ありえないでしょ。
そのくらいこのドラマには森友問題をきちんと描こうという意思がまるで感じられない。
つまり、望月さんの「新聞記者」が原案だっていうのはただの客寄せパンダとしての意味しかないと思う。
こういう宣伝のやり方は正直好きじゃないですし、望月さんはよくこれOKしたなという印象です。
このように、きちんとフィクションですという線引きがされている。
なので、見る方としても現実とは切り離してフィクションと割り切ってドラマとしてみた方がいいと思う。
むしろドラマとして面白くするために
序盤から明確に「これはフィクションですよ」と明示し
都合が悪ければドラマ性の方を優先するという優先順位で作られていると感じる。
なので、原案を利用した望月さんはともかくとして、赤木さんや谷さんなどの関係者に対して、映画の制作への取材や協力、了承などは得られてないらしい。
そういう意味では、ルワンダ虐殺の映画とかとはちょっと評価が異なってくる。
「ルワンダの涙」には虐殺の生き残りの方々が実際に出演されている。それだけ真摯にインタビューをして理解を得る努力をしている。
本作は、そういう高いレベルで社会批判を目指した作品とはレベルが全然違うただのエンタメ作品であると認識すべきかなと。
エンタメのフィクション作品としてみれば面白いし、ノンフィクションや社会批判系の作品としてみたら駄作
私は森友事件に関して明確に自民党や安倍総理を批判してる立場です。
その立場から最初は後者の作品を期待してたのですが、後者としてみると「ぬるい作品」だなあという印象です。
これで喜んでる人は、政治に興味あるように見せて、森友問題について雑な理解しかしてない人だと思います。
ましてこれを現実として広めようとするのは、事件の当事者たちにとってめちゃくちゃ失礼だしやめた方がいいです。
国会議員とかまでそういうムーブしててさすがに呆れます。
1話観た時点でめちゃくちゃはっきりとリアリティラインが示されてる以上、これを「ウマ娘」レベルに事実を大事にしてる作品だと思ってる人はちょっとどうなんだ。*1
でも、意図としては前者の作品であることは明確なので、前者のスカッとジャパンコンテンツとしてみるのが正しいのでしょう。
完全にフィクションのエンタメ作品としてみたら「なろう小説」が原作の作品と同じような楽しさがあります。
納得のいく描写がないのに周りのモブキャラが松田記者を唐突に持ち上げたり、
弟さんが現実の望月さんの弟さんと違って都合のいいキャラクターに変更されていたりと
物語として面白くするような仕掛けがありますので、そういう作品として割り切って楽しみたいところです。
*1:「SHIROBAKO」のリアリティラインまで批判したくらいリアリティラインが気になる某映画評論家なら、そのあたりきちんと批評してくれると思います。SHIROBAKOを批判してこっちは政権批判の作品だからだんまりする人がいたなら、それはただのゲスですね。