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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「私の胎の中の化物」 中学生の女の子が「悪のカリスマ」として覚醒し、笑顔で周囲の人間を壊していく話

めちゃんこ面白かった!!!!!

本作はファム・ファタルとなった女の子が、学校を中心に自分を取り巻く社会をめちゃくちゃにしていく話だ。

表紙を見てピンと来た人は読むよろし。私はこの表紙の絵が好きすぎて買ったのだが、表紙に負けず劣らずピーキーな作品だった。本作はひたすらに彼女にとっての「愉悦」を描く作品である。押見修造の「悪の華」と同じようなことをやろうとしているわけだが、「悪の華」は男の子が主人公だったからもどかしかった。本作は女の子が主人公だ。吹っ切れた女の子はスピード感が違う!うだうだ悩まずにどんどん前に進んでいくのがとても気持ちいい 
「アケビちゃんのセーラー服」のような絵柄で、やることが真逆。ひたすらどす黒い作品ということで、そういうメタでも大変美味しくいただけました。



古今東西いろんな作品で描かれてきた「悪のカリスマ」的な存在を描こうとした作品

一番近いのはランス・クエスト8屈指の厄介キャラである「アム・イスエル」。


社会に絶望しそうになっている人間に甘い言葉で忍び寄り、その絶望の種子を育てて開花させ、いろんな化物を生み出していく。
「本人が悪であるだけではなく、その悪を世界に伝播させる」という「厄災」的な存在は古今東西いろんな作品に登場する。

自分が好きな作品で言えば例えばこんな感じ。

・金田一少年の事件簿シリーズに登場する「地獄の傀儡子」こと高遠遙一。
・シャーロック・ホームズのライバルであるジェームズ・モリアーティ教授。
・「ジョジョの奇妙な冒険」の第三部におけるDIO。
・「デモンベイン」シリーズにおける「ナイアルラトホテップ」
・「ダンジョン飯」における有翼の獅子。
・「ニードフル・シングス」のリーラント。
・「百舌谷さん逆上する」の百舌谷さん。
・フラテルニテの神村愛(めぐみ)。
・「エクソシストが倒せない」に登場する悪魔たちもそうですね。

このように人の欲望を煽り、それを糧とする「悪魔」と呼ばれる存在が登場する作品をみなさんはたくさんたくさん思いつくはずだが、本作で描かれているのもそういう「悪魔」だ。


今まで優等生としていろんなことをひたすら我慢し続けてきた中学生の女の子が、我慢しきれなくなって化物を生み出してしまう


彼女の溜め込んだ怒りというか絶望はそれまでの彼女を一変させてしまった。

彼女は破壊願望や加害衝動に目覚めてしまったのだ。

もはや自分が手を汚すだけでは飽きたらなかったし
なによりも、自分は「なにかを壊すのが大好き」で今まではそれを我慢してきただけだと気づいてしまう。

そのため、彼女は、自分以外の人もそそのかしてこの破壊活動に巻き込んでいく。


本人は人の嘘を暴いて、人間関係が壊れていくのを楽しんでいるだけだが、それで救われる人がいるというのが「悪魔」の誘惑の恐ろしいところ

彼女が最初のターゲットにしたのはいじめられっ子。

まずは「いじめられっこの側を」を壊してもはや日常にとどまれない状態にし(ここ重要)

その後で「壊れたいじめられっこを使って」いじめっこ側の家庭をズタズタに破壊する。

いわゆる単純な善悪とかは存在しない。そこにはただ彼女の愉悦があるのみだ。

普通に彼女はひどいことしかしていないのだが、それでもいじめられっこ側としては、いじめられてじわじわしんでいくよりも救われたのだろう。悪魔と化した主人公がひどいのなら、それよりもっと現状のほうがひどいというのが救いようがない。

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